カスタマーサクセスで重要なKPIと設定時の注意点をわかりやすく解説!

この記事でわかること
  • カスタマーサクセスの重要KPIとは
  • KPI設定の注意点とは
  • FAQ活用でリソース増強の事例
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カスタマーサクセスの効果測定や、成果の度合いを判断する際に重要なのがKPIです。

本コラムでは、カスタマーサクセスで重要なKPIと設定時の注意点を、わかりやすく解説します。

目次

カスタマーサクセスの役割

カスタマーサクセスが重視される背景には、SaaSビジネスの広がりがあります。

SaaSとは、ソフトウェアをインターネット経由でユーザーが利用できるクラウドサービスの一種で、一般的にサブスクリプション型の利用料金で提供されています。

SaaSビジネスでは新規顧客を獲得し続けることはもちろん、既存顧客の契約維持、アップセルやクロスセルによるさらなる利益の創出が重要となります
このような継続した利益を生み続けるために必要なのが、カスタマーサクセスです。

カスタマーサクセスについては、下記のコラムでも詳しく解説をしています。あわせてご一読ください。

カスタマーサクセスで重要なKPI

カスタマーサクセスに必要なKPIは複数あるため、サービスの特徴に合わせて必要なKPIを選択・設定することが重要です。各KPIの概要と重要な理由、算出方法を一つずつ解説します。KPI_1200x470

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①オンボーディング完了率

オンボーディングとは、顧客が自社のサービスを理解して使いこなせるようにすることを指します。

顧客がサービスを理解し、目的や用途に合わせて能動的に活動できる状態になっていることをオンボーディングの完了と定義し、オンボーディング完了状態に到達した顧客の割合をオンボーディング完了率で表します。

オンボーディング完了率が低い場合は、自社のサービスのメリットを顧客が理解できていない、使い方がわからなくて利用されていない、といったケースが考えられます。

サービスの理解に至っていない顧客をそのままにしておくと、解約される可能性が高くなるため、オンボーディングが完了するまでは支援が必要です。

オンボーディング完了率は、以下の計算式を用いて算出します。

オンボーディング完了率=オンボーディングが完了した顧客÷オンボーディング期間の顧客

②解約率(チャーンレート)

解約率(チャーンレート)とは、文字どおり顧客が自社のサービスを解約する割合を指します。

どれだけ多くの新規顧客を獲得しても、解約率が高ければ顧客の総数が増えないため、売上が拡大していきません。

また、サブスクリプション型サービスでは、全体売上のうち、継続顧客による売上が大きな割合を占めるため、解約率の抑止が非常に重要です

解約率の算出方法には、顧客数をベースとしたカスタマーチャーンレート、そして収益をベースとしたレベニューチャーンレートの2種類があります。

さらに、レベニューチャーンレートには、解約などによる収益の減少割合を示すグロスレベニューチャーンレートと、アップセルやクロスセルによる収益の増加を加味したネットレベニューチャーンレートがあります。

それぞれの計算方法は、以下をご覧ください。

・カスタマーチャーンレート=期間内の解約数÷期間初日の契約数×100%
・グロスレベニューチャーンレート=期間内の損失額÷期間内の総収益×100%
・ネットレベニューチャーンレート=(期間内の損失額-期間内の利益額)÷期間内の総収益×100%

③アップセル/クロスセル率

アップセルは、既存顧客のアップグレードやアカウント追加を通して、顧客の単価を向上させることを指します。

クロスセルは、既存顧客に契約中のサービス以外の新たなサービスを契約してもらうことを指します。

顧客単価の上昇は、売上アップに直結するため、アップセル/クロスセル率は、カスタマーサクセスにとって非常に重要なKPIです。

アップセルやクロスセルを提案する際は、顧客の満足度が非常に重要です。

既存サービスに対する顧客満足度の向上が必要であることを念頭に置かなくてはなりません。

アップセル/クロスセル率の計算方法は、以下となります。

・アップセル率=アップセルした顧客数÷顧客総数
・クロスセル率=クロスセルした顧客数÷顧客総数

④LTV

LTVとはLife Time Valueの略で、顧客がサービスの利用開始から終了までにもたらす利益を表す指標です。

サブスクリプション型サービスの場合、顧客が支払う料金は、サービスを継続利用した期間によって決まります。

LTVの向上は、顧客数の向上よりも、利益に直結する指標といえます。

たとえば、新規顧客を獲得するには広告宣伝費といったコストがかかります。

しかし、既存顧客が利用を継続する場合、広告にコストをかけず利益を得ることが可能です。

LTVの算出方法は複数ありますが、一般的な計算方法は以下のようになります。

LTV=平均購入単価×平均購入回数

また、リピート購入を想定した商品の場合は、以下の計算方法でLTVを算出します。

LTV=平均購入単価×平均購入頻度×平均継続期間

⑤顧客満足度(CSAT)

CSATはCustomer Satisfactionの略で、顧客満足度を表す指標です。

サービスや商品が顧客のニーズを満たしているか、サービスを使いこなせるようになるまで、顧客に多くの労力がかかっていないかなどを、顧客満足度によって理解できます。

ほかの指標と異なる点は、顧客満足度が顧客の感情的価値を表す点です。

これは、顧客満足度が顧客へのアンケートによって算出されるためです。

一般的に顧客満足度は、アンケートを顧客に回答してもらうことで数値化します。

⑥顧客推奨度(NPS)

NPSはNet Promoter Scoreの略で、サービスへの愛着度(ロイヤリティ)を表す顧客推奨度を数値化したものです。

顧客満足度は一般的に、顧客がサービスに満足しているかの度合いを表すのに対し、顧客推奨度は、顧客が利用したサービスをほかの人にも勧めたいかどうかを表します。

顧客推奨度が高い場合はサービスの継続率やリピート率が高くなります。

また、実際に友人や知人にサービスをおすすめしてもらうことができれば、新規顧客の獲得数増加にもつながります。

顧客推奨度(NPS)の算出には、まずサービスをほかの人にも勧めたいかどうかを0~10の11段階で回答してもらい、その結果を3つに分類します。

  • 0~6:批判者
  • 7~8:中立者
  • 9~10:推奨者

上記のように分類したら、その割合を以下の計算式に当てはめて顧客推奨度(NPS)を算出します。

顧客推奨度(NPS)=推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)

⑦顧客からの紹介数

顧客からの紹介数とは、文字通り、既存顧客からの紹介によってリード化した顧客の数です。

顧客がサービスを利用して成功体験をすると、知人や友人へサービスを紹介したり、サービスに関するポジティブな口コミを投稿するなどの行動につながります。

新規顧客の獲得数増加が期待できるため、カスタマーサクセスではKPIとして設定しておきたい指標のひとつです。

⑧売上継続率(NRR)

NRRはNet Revenue Retentionの略で、売上継続率を表す指標です。既存顧客の売上が維持できているかを把握でき、サブスクリプション型サービスでは特に重要な指標となります。

売上継続率(NRR)はアップセルやクロスセルによる売上も含めて算出するため、NRRが100%を超えていれば業績が伸びていて、今後も安定した収益が見込めると判断できます。

反対に100%を下回っていた場合は、新規顧客の獲得数低下や解約率上昇などの可能性があるため、原因を分析したうえで改善策の実施が必要です。

売上継続率(NRR)の算出は、以下の計算方法でおこないます。

売上継続率(NRR)=(月初のMRR + Expansion MRR)-(Downgrade MRR-Churn MRR)÷月初のMRR

※MRR:毎月繰り返し得られる収益(月次経常収益)
※Expansion MRR:アップグレードした既存顧客の増加分のMRR
※Downgrade MRR:ダウングレードした既存顧客の損失分のMRR
※Churn MRR:解約した顧客のMRR

⑨セッション期間

セッション期間とは、顧客が自社サービスへアクセスしている期間を表す指標です。

セッション期間が長いと、顧客がサービスへ依存している状態といえます。

依存度が高いほど、サービスのニーズや満足度が高いとも判断できるため、サブスクリプション型サービスでは重要な指標とされます。

セッション期間の計測は、主にGoogle Analyticsを使って算出します。

⑩CSQL

CSQLはCustomer Success Qualify Leadの略です。カスタマーサクセスの活動によって生まれ、アップセルまたはクロスセルにつなげるため、一定の基準をクリアしたリード(見込み客)を指します。

サブスクリプション型サービスでは、新規顧客を獲得するだけでなく、既存顧客のアップセルやクロスセルも、売上における重要な要素になります。

既存顧客の単価向上を促進するために、CSQLは設定して追いかけるべき指標のひとつです。

CSQLの算出方法は企業によって異なりますが、自社で見込み客の基準を設定し、クリアしたリード数をカウントするのが一般的です。

KPIを設定する際の注意点

数値で計測可能なKPIを設定する

KPIは、「解約率を下げる」「売上継続率を上げる」のような曖昧なものではなく、「解約率を30%以下にする」「売上継続率を110%にする」など具体的な数値で設定します。

数値化されていないKPIでは、達成率が明確にならないためです。

KPIのなかには、顧客の声の収集や他部門との連携など工数がかかるものもあります。そのため、ツールをうまく活用してデータ収集を効率的に進めることが重要です。

達成可能なKPIを設定する

KPIは、達成可能な内容で設定します。

あまりにも実現可能性が小さいKPIを設定すると、PDCAを回せません。

また、設定したKPIが適切であるかどうか、定期的に検証することも必要です。
状況に応じてKPIを検討して、PDCAを回していくことが大切です。

カスタマーサクセスにおけるKPIを設定したあとは、マーケティングの考え方に沿って対応を行っていく必要があります。

カスタマーサクセスが取り組むべきマーケティングの考え方についてはこちらの記事をご覧ください。

 

FAQを活用して、カスタマーサクセスのリソースを増やそう

顧客の成功体験を増やすための支援は、限られたリソースで実施しなければなりません。

しかし、顧客から日々寄せられる多くの問い合わせにリソースを割いていては、カスタマーサクセスの実現は難しくなります。

顧客からの問い合わせ対応とカスタマーサクセスを両立するには、顧客の課題を素早く解決できるFAQの活用が有効です。

FAQがあれば顧客は自ら課題を解決できるため、問い合わせ数の削減につながります。

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