カスタマーサービスの顧客満足度向上に欠かせないセルフサービスモデルとは?“おもてなし”よりも大切なこと

この記事でわかること
  • セルフサービスモデルとは「顧客が“自己完結”で求める商品や情報を手にできる」サービスモデル
  • セルフサービスの価値が発揮できるのは「コールセンターの顧客対応」
  • セルフサービスに、「おもてなし」は必要ない
  • セルフサービスモデルを成功に導くFAQシステム
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カスタマーサービス(CS)において、最近注目されている「セルフサービス」というキーワード。飲食業界では以前から馴染みのある言葉ですが、その正しい考え方をご存じでしょうか?

間違った解釈をしてセルフサービス化に取り組もうとすると、かえって顧客満足度の低下や、コストの増加を招いてしまうことにもなり兼ねません。

この記事では、カスタマーサービスにおけるセルフサービスモデルの理想的な在り方や、ツールを導入する際のポイントについて解説します。

目次

セルフサービスモデルとは

「セルフサービス」とは、販売員や営業、専門家などに頼ることなく、顧客が“自己完結”で求める商品や情報を手にできるサービスモデルです。

具体的なセルフサービスの代表例は下記のようなものです。

  • 飲食店でスタッフが注文を取りに行くのではなく、顧客がカウンターからオーダーして食器の返却まで行う仕組み
  • スーパーでのセルフレジによる会計
  • ガソリンスタンドでドライバー自身が給油するセルフスタンド

人に依存したサービスをセルフサービスモデルに切り替えることで、フローが簡素化でき、顧客にとっても、企業経営にとってもさまざまなメリットがあります。

カスタマーサービスのおけるセルフサービスモデルの価値

カスタマーサービスの世界でセルフサービスモデルを活用できる主な業務が、コールセンターの顧客対応です。

従来型のコールセンターは同期コミュニケーション

従来型のコールセンターでは、オペレーターが直接顧客の問い合わせに答えてきました。接客や電話による“人対人”のやりとりは、「同期コミュニケーション」と呼ばれ、相手からのレスポンスを待つ時間が発生します。

そして、コミュニケーションの回数が増えるほど、この待ち時間も増えてしまいます。回答を急いでいる顧客の場合、待たされることでストレスを感じ、顧客満足度も低下してしまいます。

カスタマーサービスのセルフサービスモデル1「同期コミュニケーションでの応対」

同期コミュニケーションの場合、事業規模が拡大して問い合わせの件数が増えれば、比例してそれに対応できるだけのオペレーターを準備しなければなりません。オペレーターを増やすと、教育コストや設備のコストもかかって非効率になり、「規模の不経済」に陥ってしまいます。

FAQシステムで非同期コミュニケーションを実現

こうしたカスタマーサービスの課題を解決するために活用されているのが、FAQシステムです。顧客がキーワード検索をして知りたい情報を得られるFAQシステムは、まさにセルフサービス型のツールです。

オペレーターを介さない「非同期コミュニケーション」により、顧客は回答のレスポンスを待つことなく、いつでもすぐに疑問を自己解決できます。

カスタマーサービスのセルフサービスモデル2「非同期コミュニケーションでの応対」

多くの顧客がFAQシステムを活用した場合、オペレーターはすべての疑問に答える必要はなくなり、システムに掲載していないレアな質問のみに回答することになります。

非同期コミュニケーションで事業拡大にも対応

事業拡大により顧客が増えたとしても、一定の人数で対応できるため、問い合わせ対応の生産性は向上し、「規模の経済」が実現できます。前述した同期コミュニケーションと非同期コミュニケーションの2つの図を見比べると、フローが異なることがわかるでしょう。

ポイントは、顧客対応のフローを可視化することからはじまり、それぞれのフローの同期と非同期を見極め、それに応じて、フローの順番を見直すことです。

それにより、顧客にとってもオペレーターにとっても、そしてカスタマーサポート業務にとって最適なフローが確立できます。フローを見直さずにシステムを導入した場合、必ずしも最適にならないことは念頭に入れておきましょう。

“おもてなし”は必要ないのか?セルフサービスモデルの懸念点

セルフサービスモデルのメリットを語るとき、懸念の声も耳にします。特によく聞かれるのが「人による“おもてなし”も大切ではないか?」という意見です。カスタマーサービスにおいてホスピタリティの精神が大切であることは言うまでもありません。

しかし、どこでその“おもてなし”を発揮するかは、顧客の状態に応じて見極める必要があります。

顧客の状態を4つに分類して考える

1999年にIBM Global ServicesのDave Snowdenらが提唱した「クネビンフレームワーク」に当てはめて、顧客の状態を4つに分類して考えてみましょう。

カスタマーサービスのセルフサービスモデル3「クネビンフレームワーク」

・混沌
顧客がサービス内容について何もわからない状態

・複雑
顧客がサービス内容についてある程度理解しているが、わからないことを自分の言葉で言語化できない状態

・煩雑
顧客がサービス内容について理解し、専門家に任さればわからないことを解決できる状態

・単純
顧客がサービス内容について理解し、知りたいことが明確な状態

セルフサービスじゃない方が良いケース

「混沌」に分類される顧客の場合、手取り足取り教えてもらいたいと望んでいます。このときに大切になるのが、人による“おもてなし”です。言葉で丁寧に伝えることで、仮に期待した回答が得られなかったとしても、心が満たされ、顧客満足度の向上につながることがあります。

「複雑」「煩雑」に分類される顧客の場合、「混沌」の顧客ほど懇切丁寧な対応は必要ありませんが、やはりコンサルタントやサービスを熟知した担当者が直接対応する必要があります。

セルフサービスが有効なケース

「単純」に分類される顧客の場合、欲しい情報を早く得たいと望んでいます。昨今は自分でインターネットを通じて比較検討できるため、「単純」状態の顧客が増えてきました。

こうした方に有効なのが、セルフサービスのFAQシステムです。“おもてなし”は必要ありません。かえって問題解決が遅れ、その優しさはありがた迷惑になってしまいます。

最近ではFAQシステムの他に、チャットボットを使ってセルフサービスを実現させるケースもあります。

▼チャットボットとFAQシステムの違いは下記の記事でも紹介していますので、併せてご覧ください。

圧倒的な検索性能でセルフサービスモデルを成功に導くFAQシステムとは

「単純」の層に対してFAQシステムが“至れり尽くせり”なサービスである必要はありません。「オペレーターのリソースをFAQシステムで補う」と考えるのではなく、「FAQシステムが顧客のフロント」になり、問題解決プロセスそのものを改善すると認識すべきなのです。

知りたいことが明確な顧客に対しては適切なコンテンツを準備しておくこととそのコンテンツに容易にたどり着けるための検索性能が非常に重要です。

従来のFAQシステムは、「検索しても答えが表示されない」ということも普通でした。その結果、結局電話などで問い合わせをしてさらに待たされたそんな苦い経験をもつ顧客も少なくないでしょう。これではセルフサービスモデルの形として正しくありません。

圧倒的な検索技術のFAQシステム「Helpfeel」

そこでおすすめしたいのが圧倒的な検索性能を持つFAQシステム「Helpfeelです。

どんな質問表現にも適切に答えられ、曖昧な言葉の表現や、感覚的な言葉の表現、スペルミスなどにも対応します。よく検索されるワードがレコメンドに表示される点も優秀です。わかりやすいUIで、その心地よい使用感はFAQのユーザー体験においても特筆すべきポイントです。

さらに、Helpfeelは編集画面もわかりやすいので、ユーザーの検索結果を分析して必要なコンテンツをオペレーター自身が作成・追加でき、ナレッジ共有も容易に行えます。

カスタマーサービスにHelpfeelを導入することで、優れた検索機能により、顧客の多様なニーズにマッチし、理想的なセルフサービスモデルが実現できます。

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著者
長沢 智治
2007年より、日本マイクロソフトのテクニカルエバンジェリストとしてアジャイル開発やDevOpsの訴求をコミュニティと共に実践。プロダクトマネージャーとしてMicrosoft Development Platformをマーケットに広く活用されるまで導く。2014年よりアトラシアンで唯一のシニアエバンジェリストに。11年に渡るエバンジェリスト活動で日本全国を対象に無料出張講演や現場訪問を年間150件以上実施しつづけた。イベント基調講演、執筆・監訳など多数。
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