キャッシングローン、カードローンをはじめとする融資サービスを広く手がけているアイフル株式会社。「誠実な企業活動を通じて、社会より支持を得る」ことを経営理念に掲げ、IT金融グループとしての成長を目指しています。公式サイトやアプリによるUX/UI向上にも力を入れ、積極的に事業を拡大中です。それに伴ってお客様からの問い合わせ件数が大幅に増加してきたため、検索型FAQのHelpfeelを導入しました。
今回はコンタクトセンター1部1課長 中野様、コンタクトセンター 七瀬様、雲様、企画担当 古市様にHelpfeelの活用方法や導入の決め手について、詳しく伺いました。
利用申込の9割はWeb経由。いかにスマホファーストの顧客対応をするか
──Helpfeel導入前は、どのような課題を抱えていたのでしょうか?
中野様 問い合わせ件数の増加による業務負荷が課題となっていました。多い日には電話だけでも2,000件に達し、平常時には1日1,000〜1,500件で推移するほどでした。さらに有人チャットが1日500件、メール対応は1日100件。このすべてを30名弱のオペレーターで対応していました。
特徴的だったのは、電話による問い合わせが非常に多い点です。アプリやWebサイトからローンを申し込んだとしても、細かい情報をすべて読みこなせるわけではありませんよね。いざ取引を始めようとなると、分からない部分も出てくるのでしょう。そこで調べても必要な情報がすぐには見つからず「電話をしよう」となっているようでした。
実は、弊社を利用する際の最初の受付をWebで行うお客様は、9割を超えているんです。Webで簡単にお申し込みはできても、利用するために必要な手続きを進める難しさがあるのだと思います。アフターフォローを上手に取り入れれば、電話以外で解決できる方法があるはずです。もっとアプリやWebサイト上にあるFAQを活用し、お客様自身で調べていただけるようになれば、結果的に問い合わせ件数も減少し、スムーズな取引につながっていくだろうと感じていました。
──お客様からはどのような問い合わせ内容が寄せられていたのですか?
七瀬様 ご契約いただいたお客様からは利用方法や借入返済に関すること、ご完済に関することなどが多いです。完済されたお客様からは「解約手続きをしたいがどうすれば良いか」と質問が来ることもありました。その他にも、多岐にわたる内容が寄せられています。
Helpfeel導入前からアイフルのアプリはありましたが、機能が充実してきたのはごく最近です。「アプリがうまく使えない」「HPで契約内容がチェックできない」などの問い合わせも一定数寄せられており、電話で詳しく説明してもらって安心したいとのご要望も高いのだと思います。
──Helpfeelの導入を決めた理由は何でしょうか?
中野様 検索までのアプローチに一番惹かれたからです。検索機能や検索導線に、今までにない新しさを感じました。言葉のゆらぎや、あいまいな表現による検索ワードにも対応できるので「電話件数も減りそうだな」とイメージできました。
これまではFAQの記事が、「お客様からどう見えているのか」を重視してきました。ところがそれだけでは、一向に問い合わせ件数は減らないわけです。Helpfeelのアプローチは、いくつものルートが用意された「登山」に似ています。お客様が必要としている情報に行き着くことをゴールに据えて、さまざまな質問を用意しているんですよね。そうすることで、お客様自身が問題解決に繋がりやすいルートを見つけられていると感じました。
トライアルで実際に触ってみた時の検索のスピード感も感動的でしたし、どんなワードでも引っかかってくる様子を見て「これならいける」という手応えがありました。
記事の閲覧数は1.5倍〜2倍に増加し、到達率が80%に。ユーザーが欲しい情報までたどりつける環境を整備
──Helpfeel導入後に実感された効果はありましたか?
七瀬様 以前は評価率として、アクセスしていただいたお客様に「FAQが役立ったかどうか」を尋ね、「はい・いいえ」で答えてもらうアンケートを実施していました。ただ良い評価率は3%ほど。記事の書き換えをするなど、FAQの質問・回答は定期的に見直しをしていましたが、お客様が質問にたどり着くまでの導線には手をかけられていませんでした。
雲様 そうですね。今回Helpfeelを導入してから、そうした導線も含めてお客様が必要な情報を的確に見直すことができるようになりました。
中野様 記事の閲覧数は確実に増えました。閲覧数は月間で20万viewでしたが、多い月には40万viewにまで伸びています。これは既存FAQとHelpfeelの合算にはなるのですが、以前の1.5倍〜2倍増です。検索したキーワードで何も検索結果が表示されないnohit率も目標は10%以下としていましたが、3%程度に抑えられています。
また、検索時の記事への到達率は目標40%で設定したところ、2023年3月の導入直後から80%を超える結果が出ているなど、いずれも目標を大きく上回っています。電話による問い合わせ件数にはまだ大きな変化はみられないものの、確実にFAQを利用してもらえている実感があります。
七瀬様 オペレーターが問い合わせ対応をする際に、Helpfeelの検索性の高さを利用して分かりやすく説明することも増えているようです。電話で質問について詳しく伺いながら、HPに掲載されている最新情報をいち早く確認できるので、自信を持って対応できています。お客様にも「こちらをご覧ください」とご提案できるので、非常にメリットを感じています。
──Helpfeelの運用に対して、何か工夫されていることはありますか?
中野様 現在、FAQをご覧いただいているお客様のうち、97%はモバイルからアクセスされています。そのため弊社としては「アプリ上ですべてのやり取りを完結したい」と考えており、スマホアプリから該当するWebページへ移り、視覚的に分かりやすい情報が得られる導線をFAQ内にも作っています。
そうなれば自然とアプリの利用者数も増え、FAQを使ってご自身の不明点を自己解決していただけるのではないかと予測しています。「運用残高についてなら、このページを見れば良いのか」「支払期日はいつだったかな?」などが一目で分かる情報に直接飛べるような仕掛けになることが理想です。
HelpfeelのFAQからもスマホアプリへの誘導を積極的に行っている
また、他部門からは「こういう内容でFAQを作ってほしい」との声が上がってきています。「できれば自己解決してほしい」というニーズは、どの事業部も共通の課題として持っているものです。個別の商品に関する詳細や、販促、営業などの領域でそれぞれ細かなニーズがあります。今後はそうした部署間の連携なども、Helpfeel運用に役立てるのではないかと思います。
──弊社のカスタマーサクセスチームによる伴走については、どのように感じていますか?
中野様 サポート体制は導入の決め手の一つで非常に魅力的でした。サポートに入っていただいてからは、新しい発見も多かったと思います。データ分析の仕方や、検索ワードの絞り方は特に参考になりました。今まではファーストワードのみで記事作成を進めていましたが、セカンドワードの提示をはじめ、その背景にあるユーザーの心理状況まで含めてアドバイスをいただいています。そうした細かなサポートが、記事の改良につながっていますね。定例会でも「ここが課題ですね」とピンポイントで可視化してもらいました。
雲様 定例会でのご提案は、とても納得できる内容ですし、新しい観点からご意見をいただいて助かっています。些細な不安点も優しく寄り添ってもらっていますね。検索キーワードから質問文を作成する工程で苦労しているのですが、いつでも相談できるので安心です。
──カスタマーサクセスチームとのやり取りで印象に残っているエピソードはありますか?
雲様 お客様のカード再発行に関する記事の改訂です。以前のFAQには「既存のお客様がカードを再発行するには」という内容だけを載せていました。それを見ていたカスタマーサクセスのご担当者から「新規のお客様への対応は載せないのですか?」とご指摘いただいたんです。
「新規のお客様もカードを発行してほしい。新規申込がしたい」と思うのではないかという発想が抜けてしまっていると、改めて気づき、新しい視点をいただきました。結果としてお申し込みフォームをつけた記事に変更できました。
中野様 専門家からのフィードバックの機会は、今までほぼありませんでした。自分たちで苦労してFAQを作ったものの、評価率もそれほど変わらず行き詰まっていました。そんなタイミングで、新たなソリューションの提供とサポートをいただき、非常に多くの学びを吸収しています。さまざまな企業での導入に携わっている方からの視点で、データを元にした具体的なアドバイスをいただけるのがありがたいです。
いいものを作ってもユーザーに届かなければ意味がない。データを積み上げ問い合わせの削減へ
──今後、Helpfeelをどのように活用したいと考えていますか?
中野様 最終的にはチャットボットが本当に必要なのかどうかを検証するために、Helpfeelで得たデータを活用したいですね。回答への選択経路を複数の中から選ぶよりも、Helpfeelだけに絞って回答を直接提示すべきなのか。どのような方法がお客様にとってベストなのかは、まだこれからの検証が必要です。
一方で、検索ワードから記事にたどり着く環境は整いました。次は内容の精度を高める時期です。FAQに限らず、アプリ上の分かりにくいワード、疑問点、表現を洗い出し、気づいた点を開発担当に提言していけると良いのではないでしょうか。そうしたデータが積み上がっていけば、さらに大規模なデータを扱える部署と連携して、検証もできるでしょう。
新しい取り組みとしては、生成AIを活用した「FAQのドラフト生成」を導入したところです。記事作成の効率化にも取り組んでいきたいですね。
七瀬様 現場でオペレーターと関わっている私としては、一つ一つの記事の評価を高め、お客様にわかりやすい情報が提供できるように尽力していきたいです。
古市様 開発担当としては、FAQだけではなくサイト内検索にHelpfeelが導入できないかと考えています。今はトップページにFAQを置いているだけですが、より充実した仕様になっていけば可能になると期待しています。
──最後にHelpfeelの魅力、期待することを教えてください。
古市様 カスタマーサクセスチームとの定例会に参加しているのですが、記事作成のポイント解説が分かりやすく、いつも驚いています。Helpfeelの検索性の高さに加えて、アフターフォローが充実している点も高く評価されていると思います。
七瀬様 Helpfeelの検索性の高さは非常に魅力的です。いかに良いFAQを作っても、お客様に見てもらえなければ意味がありません。記事にたどり着くまでの流れまで含めて設計できている点が、本当に素晴らしいと思っています。
雲様 私は、お客様自身の言葉で検索し、回答にたどり着ける点を高く評価しています。また定例会でお客様視点からのアドバイスをいただけるので、スムーズに実装できたと感じています。
中野様 Helpfeel導入後は、実際にお客様に記事が届いている手応えを感じています。それを電話問い合わせ削減に繋がるよう、今後もHelpfeelにパートナーとして協働してもらえるのは心強いです。理想の目標は、お客様が問い合わせをする必要がなくスムーズにサービスを利用していただけることですが、まずは現実的なところからお問い合わせ2%減を目指して、力強いサポートに期待しています。