サステナブルな消費の選択肢として近年定着したリユース品は、コンディションが全て異なる “一点もの”です。現物を確かめながら売買する手法もある一方、オンラインを介して手軽に売買できるサービスへの需要は高まっています。それらのカスタマーサポートでは、リアル・デジタル双方にまたがる多様な問い合わせへの効率的な対応が求められています。
こうしたカスタマーサポートの課題解決に向けて、全国に160店舗以上を展開しているブランドリユースの株式会社コメ兵(愛知県名古屋市)は、2023年5月にHelpfeelを導入。顧客から寄せられる問い合わせの中で、特に自己解決可能な内容の抑制を達成しているといいます。導入の狙いや活用の現況、今後の展望などを、同社リテール統括部 オンライン事業部 兼 営業本部 営業企画統括部 カスタマーサクセス部の鶴田 竜司様と土塔 多恵子様に伺いました。
じっくり接客したい電話窓口に、自己解決可能な問い合わせが混在。混雑で折り返しも発生
―― お二方は公式ECサイトでの顧客対応業務の一環として、Helpfeelの運用をご担当と伺いました。そこでまず、ECサイトの概要についてご紹介ください。
土塔様 ブランド品などのリユースショップを展開する当社は現在、実店舗とオンラインを融合したサービスに力を入れています。
具体的には、約5万点を掲載するECサイトと、在庫を持つ全国の店舗が連携し、「商品画像を見ながら電話・メールで質問可能」「ECで購入するか、近くの店舗に現物を取り寄せた後で決めるかが選べる」「品物の撮影画像をLINEで送って買取査定でき、実際の買取方法は店頭・宅配・出張から選択可能」といったサービスを提供しています。
―― Helpfeelの導入に至った背景や、導入前の課題について伺えますか。
鶴田様 当社が現在全国で新規出店と買取を強化しているのに併せて、私たちのチームは、電話やメールのお問い合わせが増える前提で、それに対応できる体制を整えてきました。
ただ一方、有人対応できない夜間もECサイトには相当数の訪問があり、「読めば分かる」内容については特に、素早く自己解決できる仕組みが必要と感じていました。日中においても「店舗で使える決済方法」といった、お電話いただかなくても解決可能な問い合わせが交じってつながりにくくなり、しばしば折り返していたという事情もありました。
高額な中古品を多く扱う私たちとしては、店頭でも、電話・メールでも、お客さまとの間でじっくり対応すべきポイントを見定め、極力そこに人的リソースは集中したいと考えています。顧客接点の各所を検証した結果を踏まえ、トータルで一層充実した対応を目指す狙いから、お客さま自身による自己解決を促すためFAQの強化を決めました。
社内向けFAQと同時に導入できる充実したサポートを評価しHelpfeelを導入
―― 顧客接点を改善するためのFAQとして、Helpfeelを選ばれた決め手は何でしたか。
鶴田様 今回私たちは、お客さま向けのFAQと同時に、店舗と本部の情報共有を強化する社内向けFAQの新規導入も検討していました。
そのため、社内の運用が負担にならないようサポートの充実度を特に重視しておりました。また、社外向け・社内向けを通じ、利用動向に基づいた改善提案を定期的に得られる点も、Helpfeelを選ぶ決め手となりました。
土塔様 実は、当社は以前からお客さま向けのFAQページを設けていたのですが、ページの場所が分かりづらく、都度外注の作成だったためコンテンツの追加・更新がクイックにできないなど、使いづらい仕組みになっていましたでした。また、FAQトピックの検索も困難であまり実用的とは言えなかったのです。検索性・カスタマイズ性に優れたHelpfeelは、こうした課題をそろって解決できると魅力的に感じていました。
ECサイト関連の問い合わせを前年比約4割抑制
―― Helpfeel導入から現在までの運用状況と、特に工夫された点をお聞かせください。
鶴田様 リリースから1年あまりが経ちますが、前身のFAQのコンテンツをほぼそのまま移行した95記事で始めたFAQはコンテンツを徐々に追加し、現在115記事を公開しています。
記事の充実と並行して検索機能のカスタマイズも重ねており、例えば「買取」に関するコンテンツが「買い取り」「買取り」のような別表記や「査定」「売却」といった関連語からも確実にヒットするよう、お客さまが使う言葉に寄りそうようにしています。
また、知りたい回答につながるキーワードをお客さまが想起しやすいように、Helpfeelの操作画面では「鑑定」「保証」といった入力例を検索ボックス内に順次表示しています。さらに検索ボックス直下のスペースでは、当社の注力分野をPRする狙いで買取関連のトピックへの誘導も行っています。
土塔様 従来課題だった「FAQの見つけづらさ」は、Helpfeelの「ポップアップ機能」でFAQをトップページ上で利用できるようにし、解決しました。バナーのサイズ・位置は細かく変更できるため、目立つ場所を確保しつつ、スマートフォンの狭い画面でも誤タップを起こさないよう、最適なデザインを探っているところです。
ページ右側「よくある質問」からHelpfeelがポップアップ
―― 導入目的との関係で、現在どのような効果が得られていますか。
鶴田様 定量的な指標は季節変動も大きいですが、電話・メールでそれぞれ毎月4,000件程度、さらにチャットで月300件ほど寄せられるお問い合わせのうち、自己解決が可能な内容の実数は明確に少なくなっています。具体的には、ECでの手続きやサイト上での操作に関する内容が、Helpfeel導入前の同月との比較で3~4割減少しています。
これは、Helpfeel側と毎月行っているユーザー行動の検証を踏まえて、地道に改善活動を積み重ねた結果だと考えています。例えば、ターゲットとする検索キーワードを増やしたり、対応するFAQのコンテンツを充実させたりしてきました。お客さま向け・社内向け双方のFAQにおける改善提案を具体的に、かつ定期的に得られ成果が出ている点を、とても高く評価しています。
不要な問い合わせの削減により、ロイヤルカスタマーの創出を目指す
―― 最後に、Helpfeelの今後の活用に向けた展望をお聞かせください。
土塔様 当社のお客さまのWeb利用動向では現在、「購入検討か買取依頼か」「ECか実店舗か」といった目的を問わず、公式サイトトップであるECサイトからの流入が圧倒的に多いことが分かっています。
このトップページで目立つようにした新しいFAQでは、ECの利用法にとどまらず、当社で扱う商品・サービスに関する具体的なトピックの検索が思った以上に多く、端的にご案内できる内容についてはFAQコンテンツも追加してきました。今後はFAQ内で記事を増やすだけでなく、サイト内にある他コンテンツとの連携を深めることで、ご不明点のスムーズな解消を目指すフェーズに入っていくと考えています。
例えば当社の買取サービスは、店頭・宅配・出張というチャネルを明確に分けて展開していますが、FAQは、それらに共通の内容を伝えた上で各チャネルにご案内する役割が果たせるかもしれません。ユーザー動向の分析について引き続きHelpfeel社のサポートを得ながら、実際に寄せられるお問い合わせを幅広くカバーできるFAQを目指したいと思います。
鶴田様 当社の場合、お客さま向けのFAQは、問い合わせの電話・メールを減らすこと自体が目的というよりも、より良い顧客体験やロイヤルカスタマーの創出につながる丁寧な対応を実現する手段として重要です。
例えば、ECサイト掲載商品に関する問い合わせの電話を受ける担当者の手元には大抵現物がなく、その場で最大限分かることをお伝えして、取り寄せなどの選択肢をご案内するには、どうしても時間がかかります。そこにしっかりリソースを割くためにも、今後もお客さまの自己解決のサポートを充実させていくつもりです。
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