カスタマーサポートで使用する返信メールは、主に下記の要素で構成されています。
要素 | 例文 |
件名 | お問い合わせいただきました、〇〇についてのご回答です。 |
宛名 | 株式会社〇〇 ✕✕様 |
挨拶 | お世話になっております。株式会社〇〇 カスタマーサポートの〇〇と申します。 |
お礼 | この度は、お問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。 |
問い合わせ内容の確認 | 今回、お問い合わせいただいた〇〇の設定方法についてご回答させていただきます。 |
回答 | 〇〇は〇〇をすることで設定可能です。該当部分のマニュアルを添付しておりますのでご確認ください。 |
結びの挨拶 | この度はお手数をおかけして申し訳ございません。 今後ともよろしくお願いいたします。 |
署名 | 会社名、部署、担当者名、住所、電話番号、メールアドレス |
この構成に沿って文章を作成すれば、必要な項目を満たした返信メールが作成できます。
返信メールの中で特に重要な項目が、問い合わせ内容の確認と、それに対する回答です。
まずは認識の相違がないか問い合わせ内容を確認し、そのあとで回答を示します。
回答は結論(解決策)を最初に伝え、そのあとで理由を箇条書きにすると、要点がまとまりやすくなります。
一覧個々の問い合わせに対して、1から返信文を考えると、非効率かつ、対応品質のばらつきにつながります。
そこで、返信スピードを保ちつつ、対応品質を維持するために、あらかじめメールテンプレートを作成しておくのが効果的です。
ここからは、カスタマーサポートの返信文を状況別にご紹介します。
件名:〇〇のお問い合わせについて |
すぐに明確な回答ができない場合は、その旨を伝えましょう。
その際、回答に時間がかかる理由と、「いつまでに回答できるのか」を伝えることが大切です。
問い合わせをしたのに回答が来ないと、顧客は「いつ回答がもらえるのか?」という不信感を抱きます。そのため、回答期限を正確に伝えるようにしましょう。
カスタマーサポートからの返信が早いと、顧客は企業に対して良い印象を抱きます。
反対に返信が遅れると、「対応を後回しにしているんじゃないか」という不安を抱きます。
そのため、すぐに返信できないときは、先にメールが届いている旨だけでも伝えるようにしましょう。
件名:〇〇のお問い合わせについて ✕✕様 お問い合わせいただき、ありがとうございます。 ご返信が遅れてしまい、誠に申し訳ございません。 ご注文いただきました〇〇の発送は、〇月〇日を予定しております。 今後とも株式会社〇〇 〇〇サービスをよろしくお願い申し上げます。 |
最初に、返信が遅れたことに対してのお詫びをしましょう。
そして、問い合わせ内容に対する回答を伝えます。最後にもう一度謝罪を伝えると、より丁寧です。
件名:〇〇のお問い合わせについて ✕✕様お問い合わせいただき、ありがとうございます。 この度、お問い合わせいただいた内容に関しまして、1点、確認をさせていただきたく存じます。 >「〇〇〇」(顧客からの問い合わせ内容を引用) 上記の「〇〇〇」については、「✕✕✕」という認識でよろしいでしょうか? お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認とご返答のほど、何卒どうぞよろしくお願い申し上げます。 |
問い合わせ内容を詳しく確認したい場合は、以下の2点が重要です。
まずは、「何を確認したいのか」、そして「なぜ、確認が必要なのか」を伝えましょう。
「正しい状況把握をして、問題の早期解決をはかるため」という目的が伝われば、「原因の究明と対応のために尽力してくれている」と感じ、理解を示してもらえます。
また、質問内容を確認する場合は、問い合わせの文章を引用するのがおすすめです。そうすることで、お互いの認識のズレを防ぐことができます。
クレームが届いた場合は、顧客が何に不満を抱き、何を望んでいるのかを把握することを最優先にしましょう。
要求や問題点を曖昧にしたまま対応せず、まずは状況を把握することが重要です。
件名:〇〇のお問い合わせについて ✕✕様 お問い合わせいただき、ありがとうございます。 この度は多大なるご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。 お問い合わせの件につきましては、弊社のシステムトラブルによるもので、〇〇による〇〇が原因でした。 問題はすでに解決しており、お客様自身でのご対応は不要ですので、その点はご安心ください。 繰り返しとなりますが、この度は多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。 引き続き、株式会社〇〇 〇〇サービスをよろしくお願い申し上げます。 |
自社に不手際やミスがあった場合は、以下のポイントを意識して返信文を作成することが重要です。
顧客に納得してもらうためには、「トラブルの原因」をしっかり説明することが必要不可欠です。
「今後も同様のトラブルが起こるかもしれない」という不安を払拭しなければ、満足度やリピート率の低下につながりかねません。
ミスの原因が自社にある場合は正直に認め、可能な範囲で原因を説明しましょう。
次に、問題はすでに解決しているのか、顧客側で何か対応する必要があるかを伝えます。
そうすることで、顧客が「どうすればいいのか?」と考えるストレスを減らすことができます。
件名:〇〇のお問い合わせについて ✕✕様 お問い合わせいただき、ありがとうございます。 この度は多大なるご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。 お問い合わせの件につきましては、配送業者の手違いが原因でございました。 配送業者に対しては再発防止の指導を行い、管理体制の見直しをしました。 重ね重ね、この度は多大なるご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございませんでした。 今後とも株式会社〇〇 〇〇サービスをよろしくお願い申し上げます。 |
自社以外(配送業者など)でトラブルがあった場合は、以下の4つのポイントを意識して文章を作成しましょう。
自社に原因がない場合でも、まずはお詫びを伝え、そのあとでトラブルの原因について説明しましょう。
トラブルの原因が配送業者などであったとしても、顧客には関係がありません。
「トラブルがあった」という事実に対して謝罪することが大切です。
そして、再発防止策、顧客側での対応の要否を伝え、顧客に安心してもらえるようにしましょう。
▼改善要望に応えられるときのテンプレート
件名:〇〇のお問い合わせについて ✕✕様 お問い合わせいただき、ありがとうございます。 この度は弊社の✕✕に対するご要望をいただき、誠にありがとうございます。 >「〇〇〇」(顧客の要望を引用) 上記につきましては、△△△を〇〇することで対応していきたいと考えております。 【添付ファイル:✕✕✕✕_2022.pdf】 この度は貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。 今後とも株式会社〇〇 〇〇サービスをよろしくお願い申し上げます。 |
▼要望に応えられないときのテンプレート
件名:〇〇のお問い合わせについて ✕✕様 お問い合わせいただき、ありがとうございます。 この度は弊社の✕✕に対するご要望をいただき、誠にありがとうございます。 >「〇〇〇」(顧客の要望を引用) 上記につきましては、社内で情報共有し今後の改善策の検討を進めて参ります。 この度は貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。 今後とも株式会社〇〇 〇〇サービスをよろしくお願い申し上げます。 |
改善要望に返信する場合は、下記の2つを意識しましょう。
顧客が改善要望のメールを送るのは、自社の商品やサービスに愛着を持っているからです。
そのため、改善や要望のメールが届いた際、まずは感謝の気持ちを伝えることが大切です。
そして、顧客の要求に応えられる場合はすぐに対応をし、その旨を伝えましょう。
反対に、要望に応えられない場合でも、「対応できません」といった否定的な表現を使うのは好ましくありません。
「検討いたします」「社内で情報を共有いたします」など、今後の改善に向けた前向きな表現を使うようにしましょう。
件名:〇〇の御礼 ✕✕様 お問い合わせいただき、ありがとうございます。 この度はお褒めの言葉をいただき、誠にありがとうございます。 >「〇〇〇」(顧客の文章を引用) 〇〇〇はお客様に満足していただくために、社員が一丸となって取り組んでいるミッションです。 そのため、今回のお言葉は身に染みる思いです。 今後もお客様のご期待に沿えるよう尽力して参ります。 |
メールで感謝を伝えるということは、サービスや商品に感動したということです。
そのメールに対して、形式的な文章のみで返信をすると、顧客の気持ちは冷めてしまいます。
テンプレートを使用しつつも、「どのような言葉が嬉しかったのか」など、具体的なエピソードを添えて作成しましょう。
感謝の言葉をもらった喜びが伝われば、顧客は「メールを送って良かった」と好印象を持ってくれます。
問い合わせに対する回答は簡潔にまとめることを意識しましょう。
メールの基本構成の項でもお伝えしましたが、はじめに回答を伝え、そのあとで箇条書きや添付資料で要点整理すると、顧客が内容を理解しやすくなります。
丁寧な言い回しを意識するあまり、間違った言葉遣いになっていないかを確認しましょう。
カスタマーサポートのメール対応でよく間違われる言葉としては、下記のようなものがあります。
間違った表現 | 正しい表現 |
拝見させていただきます | 拝見いたします |
ございますでしょうか? | ございますか? |
わが社 | 弊社 |
カスタマーサポートが案内をする際、顧客にはなじみのない専門用語を使用すると、顧客に内容が伝わりにくくなってしまいます。
そのため、メールでは専門用語を使わず、相手に伝わりやすい表現を心がけることが大切です。
メールを作成する際にクッション言葉を使用すると、全体的な印象を柔らかくすることができます。
クッション言葉の例としては下記のようなものがあります。
顧客の要望に答えられない場合や、伝えにくいことを文面にしなければいけない場合には、クッション言葉を活用しましょう。
カスタマーサポートにおける、メール対応を効率化するポイントは以下の3点です。
「カスタマーサポートで使えるテンプレート一覧」の冒頭でもお伝えしたように、カスタマーサポートでは、あらかじめ複数パターンのテンプレートを用意しておきましょう。
テンプレートがあれば、スピーディーに返信できるようになることはもちろん、担当者による対応品質の差を解消できます。
テンプレートは定期的にブラッシュアップしましょう。情報がアップデートがされていないと、古い情報が混乱を招き、クレームにつながる可能性があります。
特に、サービス内容やプランの変更があった際には、必ず内容の見直しを行うようにしましょう。それ以外にも、3ヶ月ごとや半年ごとなど、期間を決めて見直しすることも重要です。
前述のように、テンプレートを整備・更新することはカスタマーサポートの業務効率化につながります。ただし、テンプレートを整備しても、すべての問い合わせに対して、全く同じ文章で回答できるわけではありません。
加えて、人的なミスを無くして高品質な対応をするためには、送信前の入念なチェックが欠かせません。
一般的には、カスタマーサポートのスーパーバイザー(SV)を中心とした、チェック体制を設ける企業が多いです。ただし、チェックする工程がボトルネックになって、業務効率が下がってしまうケースも少なくありません。
チェック工程をスムーズに進めるためには、送信前のチェックリストを明文化し、部署内で共有することが効果的です。
など、確認事項をリスト化しておくことで、確認にかかる時間の短縮が期待できます。また、誤送信や記載漏れの防止にも繋がります。
カスタマーサポートの業務を効率化するためには、問い合わせそのものを減らすFAQシステムが効果的です。顧客が自力で疑問を解決できれば、問い合わせの件数を大きく減らせる可能性があります。
FAQシステムとは、顧客が抱える『よくある質問』とその回答を管理するシステムで、顧客はFAQシステムを通じて、疑問を自己解決できるようになります。
株式会社Helpfeelが開発・提供する『Helpfeel』は、顧客の質問に対して都度回答を探すのではなく、入力されたキーワードにマッチする質問を提示する方式により、FAQ検索ヒット率98%という精度の高い問題解決を実現しました。
導入いただいた企業様では、顧客自身による自己解決率を40%向上させたことで、有人対応が必要な問い合わせへの回答に要する時間を短縮し、顧客満足度の向上に成功しています。
この事例の詳細については、こちらのページをご覧ください。
カスタマーサポートを効率的に運用し、顧客満足度を向上させたい企業様はお気軽にご相談ください。