バスボムで知られる英国発のナチュラルコスメブランド「LUSH(ラッシュ)」は、物販店舗のほか、スパ施設など国内で77店舗を展開しています。店舗を支えるスタッフ数は約1,000人いますが、新たなレジシステムの導入をきっかけに本社のサポートデスクへの問い合わせが増加したと言います。
そのなかでHelpfeelの導入に至った経緯や現状について、同社IT/スーパーバイザーの新山 裕己様にお話しを伺いました。
77店舗、約1,000名のショップスタッフが見つけやすいFAQを模索
──まずはじめに、御社が抱えていた課題感について教えてください。
弊社が展開するナチュラルコスメブランド「LUSH」は、店舗が全国に約77店舗あり、そこで働くスタッフが約1,000人います。私は店舗からのIT関係の問い合わせを受ける部門にいますが、2022年5月から全店で新しいレジシステム「Lushpay」の運用が始まったのをきっかけにIT部門への問い合わせも倍増しました。これまで150件程度だった店舗からの問い合わせが多い時では300件を超えることもあり、対応するリソースも割かれてしまいました。
──店舗のスタッフからはどのような問い合わせが多かったのでしょうか。
主には新しいレジの使い方などです。たとえばレジにこういうエラーが出ている、バッテリーが切れた、レシートが出ないなど、同じような質問がたくさん来ている状態でした。もともとマニュアルとしてスプレッドシートを用意していましたが、そもそもスプレッドシートが見つからなかったり、スプレッドシートが見つかってからも、調べたい項目について検索しないといけない等で時間がかかっていました。あまりに見つからないので、メールの履歴から検索して探す、という手段も取るスタッフも多かったようです。
店舗スタッフがスプレッドシートやメール本文から全文検索をして解決するという方法は、接客対応をしながらでは難しく、スムーズに疑問を解決できないという課題がありました。
私はもともと前職でもヘルプデスクにいましたので、何か探したり情報を引き出そうとする際はFAQを使用していましたが、ラッシュには同様のものがまだありませんでした。
そのため店舗スタッフからの問い合わせには、私が所属するサービスデスクで対応をしていましたが、サービスデスクも私を含め3名で対応しており、ショップスタッフが見つけやすいFAQを整備する必要があると感じていました。
最も多かったレジ周りの問い合わせ件数が約30%削減。スタッフの問い合わせ抑制に貢献
──Helpfeelの導入を決めた理由は何でしょうか?
チャットボットも含めて色々なツールを検討したのですが、導入までの間に弊社がやるべきことが少ないことがまず魅力でした。IT部門の他、ファイナンス部門、カスタマーケア部門でもスプレッドシートで管理しているマニュアルがありました。せっかく始めるなら他の部門も一緒にと考えていたため導入まで弊社がやるべきことが少なく手間がかからないことは重要でした。
また、Helpfeelのテクニカルライターが言い換え表現を提案して制作してくださるのも嬉しいポイントでした。構築の際にお渡しした質問文と回答の原稿を丁寧に読み取ってくださり「『レジ』は『Lushpay』のことを意味していますか?」や「この内容はこの記事に該当すると思うのでこういうテクニカルライティングをしてもよいでしょうか」など弊社のことを理解してくださったうえで検索ヒットするための調整をしてくださったのに驚きました。社内用語も統一されていないなかで、どう理解いただけるかを心配していましたが、提案型で進めてくださったのがとても印象的でした。
──Helpfeel導入後に実感された効果はありましたか?
いくつかの指標を定量的に見ているのですが、検索をしてもヒットしないno hit率は当初10%の目標だったところ、現在は8%まで下がり、FAQでスタッフが自己解決できる割合が増えました。
冒頭で申し上げたLushpayに関する問い合わせが特に多かったのですが、導入前には多い月には月間約200件あった問い合わせ数も今では80件ほどに減っています。弊社ではレジのことを「ラッシュペイ」と呼ぶことが多いのですが、「Lushpay」と英語で表記したり、カタカナで検索したり、レジと検索したりと表記も統一されていませんでしたし、検索ではヒットしづらい状況でしたが、Helpfeelは表記ゆれに強いのでまずここが改善されていると思います。
問い合わせ件数の減少はFAQだけの効果ではないと思いますが、よく問い合わせがある内容はFAQの一番上に固定するなどをして、より見つけやすい工夫も進めています。
また、店舗に設置されているタブレットやiPhoneを活用することで、PCを立ち上げて調べるよりも検索するハードルが下がると感じています。iPhoneは既に活用していますが、まずログインするというハードルがあるので、そのフローを改善するともっと多くのスタッフが調べやすくなると思います。これについては、これから実践していこうと考えているところです。
──Helpfeelの伴走についてはいかがでしょうか?
導入前は、導入にかかる労力が多いのではないか、導入後はどのくらいサポートいただけるかなどを心配していましたが、思ったよりも労力がかからずに導入できたうえ、改善アクション考案も、かなりHelpfeelのカスタマーサクセスにリードいただいています。特に作ったFAQに対するアドバイスが非常に助かっています。FAQのコンテンツはどんどん増え膨大になりがちですが、アクセス状況やコンテンツの重複などをもとに「このFAQ記事は不要かもしれません」など、第三者の目線で記事の棚卸しをしていただけることも非常に助かっています。
チームのナレッジから会社のナレッジへ。ナレッジを集約して業務のスピードアップへ
──Helpfeelを今後どのように活用していきたいと考えていますか?
もともとヘルプデスクにいたこともあって、企業のナレッジを集約していくことを実現していきたいと考えています。今私がいるサービスデスクは3名体制ですが、サービスデスクの人員増加の予定は今のところありません。人員増加を検討する前に、ナレッジ集約にFAQを活用することで、3人の作業スピードアップ、インシデント対応スピードアップに繋がると考えています。
そのためにも、まずは店舗スタッフをはじめ、社員が全部で2,000人ほどおりますので、スタッフにFAQを積極的に利用してもらえるよう、推進を進めたいと考えています。
私はFAQは情報を共有して周知するためにはとてもよいツールだと思っています。これまでは伝えたいことをすべてメールに書いて送ったり、社内ポータルサイトに掲載したりしていました。一方でFAQに入れておけば後からでも必要な情報を探しやすいです。ナレッジは人の入れ替わりがあった際に失われてしまうものですが、こうして整理して探しやすくしておくことでラッシュのなかにナレッジは蓄積されていきます。現在はIT部門の他、ファイナンス部門、カスタマーケア部門で使用していますが、人事や総務など、ナレッジの蓄積が必要な部署があれば活用していけるといいですね。
──貴社と同様の課題をお持ちの企業様へ、メッセージをお願い致します。
従業員が多くなるとサービスデスクやサポートデスクが必要になり、限られたメンバーで社内の問い合わせをさばかなければいけません。
FAQツールを入れていないところは、何らかの形でナレッジを貯めていける仕組みを考えていくとよいと思います。
膨大なナレッジをどうやってFAQ化していくのか、不安に思う方や労力を考えると一歩を踏み出せずにいる方もいらっしゃるかもしれません。しかしHelpfeelは、導入まではテクニカルライターやウェブディレクターが伴走し、導入後は月次レポートでの報告やリマインド、検索キーワードに関するアドバイスなど、カスタマーサクセスが伴走してくれます。
今まではどこに何があるのかわからなかった状態からチーム内のナレッジ共有、さらに企業のナレッジ共有へと進化させていきたいです。
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