
チャットボットとは
チャットボットとは、ユーザーからの質問に対し、ロボット(bot)がチャット(chat)による回答・対話をしてくれるツールです。
24時間365日、時間を問わずにリアルタイムでユーザーの課題を解決してくれることから、多くの企業が導入を進めています。
チャットボットを導入するメリット
近年では、コールセンターのコスト増加が大きな問題となっています。軽微な問い合わせに対応するための人員確保が必要となり、結果として企業全体のコストを圧迫するという事例も少なくありません。
そのため、人的負担増の大きな要因となる軽微な疑問は、ユーザー自身での自己解決が望まれており、チャットボットは疑問の自己解決による問い合わせ件数削減の手段として、大きく期待されています。
▼チャットボットについては、下記のコラムで詳しく解説しているので、併せて読んでみてください。
チャットボットの種類
チャットボットには以下の通り、3種類あります。
- ルールベース・シナリオ型
- AI(人工知能)型
- ハイブリッド型
それぞれの種類について、特徴を見ていきましょう。
ルールベース・シナリオ型
ルールベース・シナリオ型は、想定される質問とそれに対する回答をあらかじめ登録しておき、ユーザーが選んだ選択肢に対する回答を返します。
「○○の使い方を知りたい」「○○を実行したい」などの選択肢から、ユーザーが答えを知りたい質問を選ぶと、それに対応する回答をチャットボットが自動的に返します。
また、一問一答で答えられない質問に対しては、さらに答えを絞り込むための次の質問が提示されるように設計できるため、高い精度でユーザーの求める回答を返せるのがメリットです。
比較的安価なコストで導入できますが、機能は登録された質問に回答するのみであるため、例外的なトラブルや想定外の質問には対応できません。
AI(人工知能)型
AI型は、搭載したAIが対応を繰り返しながらデータを蓄積・学習するチャットボットです。
データを取り込むほどAIの学習が進み、精度が高い回答を返せるようになります。また、学習の結果によっては例外的なトラブルに対する対応も行います。
身近な例では、iPhoneの「Siri」やAndroidの「Googleアシスタント」がAI型のチャットボットです。また、旅行会社や観光地のスポット案内、就職活動における学生へのQ&Aといった場面で、AI型のチャットボットが活躍しています。
ルールベース・シナリオ型に比べると導入のコストは高めですが、長期運用による学習が進むことで、大きな導入効果が期待できます。
ハイブリッド型
ハイブリッド型は、ルールベース・シナリオ型とAI型の両方の特徴を併せ持っているチャットボットです。
定型文で回答できるような基本的な問い合わせには、ルールベース・シナリオ型で回答し、スピーディーに対応できます。複雑で難易度が高い問い合わせにはAI型で、高度な対話能力を持ち合わせているため対応が可能です。
問い合わせによって、ルールベース・シナリオ型とAI型をうまく使い分けられることが、ハイブリッド型の魅力であり、ハイブリッド型を導入するメリットといえます。
チャットボットを無料で使うには
チャットボットを無料で使うには、以下の方法があります。
- チャットボットを自社で構築する
- 無料トライアルが可能なチャットボットを導入する
- プラットフォームが提供するチャットボット機能を活用する
チャットボットを自社で構築する
社内に専門的な知識を持つスタッフが在籍しているなら、オリジナルのチャットボットを構築するのも選択肢の1つです。近年では、以下に紹介するような数多くのチャットボット開発フレームワークが登場しています。
また、以下のようなメッセンジャーアプリをチャットボットとして組み込むAPIも登場し、より手軽にチャットボットを導入できるようになっています。
- Facebook Messenger
- LINE
自社開発のチャットボットは、企画段階から全て自社で行う必要があります。希望に合ったデザインや機能を備えたチャットボットを開発しやすいという点は、自社開発の大きなメリットです。
しかし、開発にはプログラミングの専門知識が必要な上、トラブル発生時のサポートを期待できません。チャットボットAPIは、自社開発できるほどの知識がなくても導入できるようにサポートが充実しています。
そのため、導入しやすいというメリットがありますが、LINEやFacebook Messengerなどベースとなるメッセンジャーアプリは変更できないため、自由度という点では自社開発よりも劣ります。
また、前述したツールそのものは無料で利用できますが、開発に当たっては人件費や外注費などのコストが発生します。
無料トライアルが可能なチャットボットを導入する
チャットボットを自作するのが難しいなら、無料トライアルができるチャットボットを導入することも選択肢の1つです。
トライアル期間の制限はあるものの、一定期間、費用をかけずにチャットボットを運用することで、その効果を検証できます。
無料トライアルを経て一定の費用対効果を期待できることを把握した上で有料の正規版を導入すれば、チャットボット導入に伴うリスクを低減することが可能です。ベンダーからのサポートを受けられるため、開発の知識がない企業でも安心して導入できるでしょう。
一方で、ツールごとに異なる機能を持っていることから、選んだツールに自社が希望する機能が搭載されていないケースも考えられます。
プラットフォームが提供するチャットボット機能を活用する
チャットボットを無料で簡単に使うなら、大手プラットフォーム内で使用できるチャットボット機能を活用する方法があります。
FacebookやSlackなどでは無料のチャットボット機能があり、導入費用を抑えながら既存のプラットフォームを利用できることが大きなメリットです。
ただし、プラットフォーム内で使用するチャットボットのため、使える機能や範囲が限定されていることもあります。必要とする機能がそろっているかどうかを、事前に確認しておくことが重要です。
無料プランのあるチャットボット3選
チャットボットを気軽に試せる無料プランのあるものをご紹介します。機能や特徴を比較して、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
※以降の情報は、2025年1月末時点で各製品サイトに掲載されている情報に基づきます。最新の情報は必ず各製品サイトで確認してください。
HubSpot
- 製品サイト:https://www.hubspot.jp/
- 開発・提供元:Hubspot
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク、マーケティング支援
- 機能・特長:
- オールインワン型のCRMプラットフォームで、マーケティング、営業、コンテンツ管理、カスタマーサービス、オペレーション全てと連携できる
- テンプレートから簡単にチャットボットを作成できる
- CRMと統合されているため、顧客ごとに自然な流れのコミュニケーションを提供できる
- 顧客とのチャットを一元管理し、チーム全体での共有・対応できる
- Gmail、Googleカレンダー、WordPressなど多彩なツールとの連携ができる
- 無料トライアル期間:無料版あり(※機能制限あり)
- 価格:
- 初期費用:記載なし
- 月額費用:0円〜14万4,000円
Tayori
- 製品サイト:https://tayori.com/feature/ai-chatbot/
- 開発・提供元:https://tayori.com/
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク
- 機能・特長:
- 利用ユーザー10人
-
フォーム・FAQ・アンケートがそれぞれ無制限で利用できる
-
AIチャットボットが無制限で設置できる
-
LINE公式アカウントに連携でき、LINEでの質問にAIチャットボットが回答
- 無料プランの利用範囲:14日間
- 価格:
- 初期費用:無料
- 有料プランの月額費用:9,400円
チャネルトーク
- 製品サイト:https://channel.io/ja/user-chat
- 開発・提供元:https://channel.io/ja
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク、マーケティング支援
- 機能・特長:
-
ウェブチャットやLINE公式アカウントなどを一元管理できる
-
見やすい顧客プロフィールのため、見ながらの対応が簡単
-
メールやSMSへ通知が届き、チャネルトークから離脱した顧客ともコミュニケーションをとりやすい
-
自分の顧客対応ステータスをオペレーターが変更できる
-
サポートBotで対応でき、問い合わせの対応効率が大幅に上がる
-
問い合わせ状況をリアルタイムで分析し、CS運営を最適化できる
-
オペレーター管理では、一目で状況が把握でき、てチーム運営が可能に
-
- 無料プランの利用範囲:接客チャット(30日以内は履歴確認可能)、社内チャット、最大30人・1時間接続できるボイス・ビデオMeet
- 価格:
- 初期費用:無料
- 有料プランの月額費用:2,700円〜
無料トライアルが可能なチャットボット6選
※以降の情報は、2025年1月時点で各製品サイトに掲載されている情報に基づきます。最新の情報は必ず各製品サイトで確認してください。
AI-FAQボット
- 製品サイト:https://faq-bot.ai/ja/
- 開発・提供元:L is B
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク
- 機能・特長:
- 事前学習は一切不要。回答と質問を入力したExcelを登録するだけで利用できる
- 採用のQ&Aに使える50項目のテンプレートを用意
- 未設定のカテゴリーボタンはQAデータから自動生成される
- Slack、Teamsなどのビジネスチャット・グループウェアと連携できる
- AIが話し言葉を学習し、最適な回答を提示してくれる
- 無料トライアル期間:30日(QA数100問まで)
- 価格:
- 初期費用:記載なし
- 月額費用:1~100問まで:30,000円
(※以降、100問増えるごとに10,000円追加)
ChatPlus
- 製品サイト:https://chatplus.jp/
- 開発・提供元:チャットプラス
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク、マーケティング支援
- 機能・特長:
- 複数端末から単一IDでログインができ、柔軟性のある運用を実現できる
- AI会話機能により、フリーワードでも意味を解析し、精度の高い自動回答を行う
- 登録したナレッジベースから未登録のQ&Aを予測表示してくれる
- チャットの文字列配列や挙動など、運用に合わせて自由にカスタマイズ可能
- 外部連携機能が充実しており、ECサイトやSFA、CRMへの設置ができる
- 無料トライアル期間:10日間
- 費用:
- 初期費用:0円
- 月額費用:1,500円〜170,000円
Officebot
- 製品サイト:https://officebot.jp/
- 開発・提供元:ネオス
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク
- 機能・特長:
- FAQの登録のみで運用が開始できる
- 独自辞書&ユーザー辞書により表記揺れを幅広くサポートしてくれる
- 独自AIがFAQを元にシナリオを自動生成してくれるため、手動による拡張作業を大幅に軽減する
- 不足しているFAQは、ドキュメントを自動検索し生成してくれる
- 多言語対応機能が無料で搭載されており、英・中(簡・繁)・韓など複数の言語で対応できる
- 無料トライアル期間:1カ月
- 価格:
- 初期費用:350,000円
- 月額費用:150,000円(※キャンペーン中につき50,000円~)
GoQSmile
- 製品サイト:https://goqsmile.com/
- 開発・提供元:GoQSystem
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク
- 機能・特長:
- テンプレートから、ポップアップ型/ページ埋め込み型、自由入力有り/無しといったデザインを選択できる
- タグの貼り付けのみでチャットボットを設置できる
- Yahoo、auPAYマーケット、EC-CUBE、Facebook、WordPressなど、APIを用いてさまざまなサービスに連携できる
- IP制限により接続先を社内に制限し、社内用FAQとして活用できる
- 複雑な問い合わせは有人オペレーターに切り替えるハイブリット対応機能を搭載
- 無料トライアル期間:20日
- 価格:
- 初期費用:30,000円
- 月額費用:10,000円〜20,000円
Dialogflow
- 製品サイト:https://cloud.google.com/products/conversational-agents?hl=ja
- 開発・提供元:https://cloud.google.com/products/conversational-agents?hl=ja
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク、マーケティング支援
- 機能・特長:
- 生成AIと決定論的AIによる直感的会話ができる
-
テキストベースと音声ベースによる開発プラットフォームで、仮想エージェントに対応
-
エージェントの作成が容易にできる
- 無料プランの利用範囲:$300 分のクレジットで全てのプロダクトを90日間利用
- 価格:
- 初期費用:記載なし
- 月額費用:問い合わせにより見積もりが可能
FirstContact
- 製品サイト:https://first-contact.jp/
- 開発・提供元:https://first-contact.jp/
- 利用シーン:カスタマーサポート、社内ヘルプデスク、マーケティング支援
- 機能・特長:
-
Facebook、LINE、Slack、Chatworkなど他社サービスと連携して課題を解決する
-
生成AIとChatGPTを連携し、迅速な問い合わせ対応を実現
- RAGアーキテクチャにより高精度な回答を生成できる
-
生成AIとシナリオより目的に合わせて選択できる
-
最短即日に導入でき、Excelのインポートによってシナリオ作成ができる
-
有人対応への切り替えはボタン1つで簡単にできる
-
- 無料トライアル期間:20日間
- 価格:
- 初期費用:無料
- 月額費用:2,980円〜60,000円
チャットボット導入でチェックするべき3つのポイント
ポイント1:運用体制を構築する
チャットボットの導入には、質疑応答のシナリオ作成や教師データによる基礎学習など、事前準備が必要です。
たとえ顧客対応の履歴やマニュアルなどの資料が揃っていても、未経験者が適切なシナリオを作成することは困難です。また運用開始後も、分析と改善を繰り返しながら回答の精度を高めなければなりません。そのため、チャットボット運用の経験者を中心に、導入・運用体制を作る必要があります。
もし社内にチャットボットの導入・運用に精通した経験者がいなければ、チャットボットを提供するベンダーなどの専門家に代行してもらう必要があります。
ポイント2:自社に合ったチャットボットを選定する
チャットボットは数多くのベンダーが扱っており、それぞれ異なる機能を持っています。自社が求める要件を備えているツールを導入しなければ、十分な成果は得られないでしょう。
例えば、チャットボットの利用状況をマーケティングに活かす目的なら、CRM(顧客管理ツール)との連携を検討する必要があります。また顧客の年齢層が若いようであれば、スタンプでの返信やくだけた口調での対応など、顧客層の特性にあった対応を設定するための機能が必要です。
自社が顧客対応に求める機能を事前に洗い出したうえで、要件を満たすツールを選びましょう。
ポイント3:導入後のサポートを受けられるベンダーを選定する
実際にチャットボットの運用を開始した後、時には予期せぬエラーが発生します。自社の担当者だけで問題の解決ができない事態に備え、導入前にベンダーのサポート体制を確認しておきましょう。
導入コストが安い一方で「サポートは別料金」「サポートはメールのみ」「導入後のサポートは対象外」など、サポート体制はベンダーによって様々です。また、日本語によるサポートを行っていない海外製ツールもあるので注意が必要です。
さらに、導入後に電話でのサポートを宣言しているベンダーであっても、実際にはコールセンターに全く繋がらない場合もあります。あらゆる問題を自社だけで解決できる体制が整っていれば問題ありませんが、もし導入後のサポートを必要とするのであれば、比較サイトの口コミを含めたサポート体制の調査を行いましょう。
無料のチャットボットを利用するときの注意
無料のチャットボットを利用する際には、使える機能やトライアル期間に注意が必要です。事前に確認しておかなければ、せっかくのトライアル期間が無駄になりかねません。注意点について、詳しく解説します。
使える機能に制限がある
多くのチャットボットでは、無料の場合に使える機能には制限がかけられています。そのため、導入後に使いたい機能をトライアルで試せない可能性もあるため、注意が必要です。
例えば、登録できるFAQの数が制限されていて、十分な問い合わせ対応ができないこともあります。また、チャットボットの設置可能なプラットフォームが、指定されたアプリ内に限られているケースもあるでしょう。
その他、導入時や運用中のサポートが受けられないこともあるため、ITツールの導入に不安がある場合は、相談先を確保しておくことも大切です。無料プランの機能やサポートでは不足が生じる可能性があるときには、有料プランを検討しましょう。
トライアル期間が終わると自動で有料プランに移行することもある
無料プランの多くは、期間限定のトライアルとして設定されています。そのため、トライアル期間が終了すると、自動的に有料プランへ移行することがあるため、終了期間の確認は欠かせません。
トライアル期間は、本当にそのチャットボットを導入してよいかどうか、自社に合っているかどうかを判断するための期間です。いつまで無料で使えるのか、事前にしっかりと確認し、トライアル期間を有効に活用してください。
問い合わせを削減するチャットボット以外の方法とは
チャットボットの導入を検討している企業の多くは、問い合わせ対応にまつわる業務の効率化、軽微な問い合わせの削減といった課題を抱えていると考えられます。
チャットボットの導入には膨大な量のシナリオを用意する必要があり、AIの学習にも一定の時間がかかります。また利用者側は、質問を全文記入する必要があるため、負担がかかるという側面があります。問い合わせ対応の工数を削減する手段はチャットボットだけなのでしょうか。
チャットボットの導入・運用が心配な方にご検討いただきたいのが、FAQシステムの導入です。
FAQは「Frequently Asked Questions」の略語であり、Webサイト上などでは「よくある質問」として扱われています。頻度の高い質問に対して回答をセットにしたQ&Aをまとめ、一覧したページがFAQページ、またはFAQサイトと呼ばれるWebページです。
FAQサイトは、質問と回答を並べただけでは使いやすいページにはなりません。FAQシステムは顧客が求める回答を分析し、回答をより顧客が求める内容に改善できる点が魅力です。
また、単語入力による検索にも対応しており、利用する顧客の負担を減らした結果、カスタマーサポートの対応にかかる時間も削減できるのです。
検索ヒット率向上に特化した唯一のFAQシステム Helpfeel
「Helpfeel(ヘルプフィール)」は、独自技術である「意図予測検索」により、あいまいな文章や単語による検索を幅広くカバーし、検索ヒット率98%を実現しました。この高い検索ヒット率はFAQを利用する顧客の疑問の多くを解消し、最大で60%以上の問い合わせ件数削減に貢献しています。
さらにHelpfeelは、直感的なUIにより誰でも簡単な操作が可能です。あまりITツールに慣れ親しんでいない顧客層や、FAQの利用に不慣れな社内部門でも安心してご活用いただけます。積極的に質問をしたい方向けのチャットボットと併用すれば、双方の得意分野を活かした手厚いカスタマーサポートの実現が期待できます。
- 「問い合わせ対応の工数を減らしたい」
- 「手軽に業務効率アップの施策を入れたい」
- 「さらに手厚いカスタマーサポートを行いたい」
こうしたご希望をお持ちの企業様は、ぜひHelpfeelについてお気軽にお問い合わせください。