カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?顧客体験向上につながる3つのポイント

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?顧客体験向上につながる3つのポイント

近年、「カスタマーエクスペリエンス(CX)」という言葉がよく聞かれるようになりました。本コラムでは、今後のビジネスシーンにおいて、ますます重要になる「カスタマーエクスペリエンス(CX)」の概念と、顧客満足度の向上につながる取り組みのポイントを解説します。

  1. カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?
  2. カスタマーエクスペリエンス(CX)が注目を集める背景
  3. カスタマーエクスペリエンス(CX)向上の効果
  4. カスタマーエクスペリエンス(CX)の感情的価値
  5. カスタマーエクスペリエンス(CX)における顧客対応のポイント
  6. カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させる顧客対応ツール

 

 

カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?

カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience)とは、顧客が感じるあらゆる印象や価値を包括した言葉です。「顧客体験」や「CX」とも呼ばれます。

これまでも企業は、サービスや商品の品質向上に取り組んできました。しかし、顧客は、サービスや商品のみならず、広告、マーケティング施策、カスタマーサポートなど、さまざまなチャネルで継続的に企業との接点を持っています。

カスタマーエクスペリエンスは、購入時や使用時といった断片的な体験ではなく、サービスや商品を知り、実際に使って感想をシェアするまでの、カスタマージャーニーにおけるすべての体験を意味します。あらゆる購買プロセスにおいて発生するさまざまな体験を包括的にとらえ、カスタマーエクスペリエンスを設計することで、顧客満足度や顧客生涯価値(Life Time Value 略称:LTV)の向上につなげることができます。

カスタマーエクスペリエンス(CX)が注目を集める背景

「カスタマーエクスペリエンス」の重要性が叫ばれるようになった背景には、昨今の2つの大きな変化があります。

ひとつめの変化は、市場の成熟にともなって商品やサービスが溢れかえり、コモディティ化が進んだことです。サービスや商品そのものの機能やスペックを訴求するだけでは他社との差別化が図りにくくなり、競合とは異なる感情的価値を創出する必要が出てきました。

もうひとつの変化は、スマートフォンの普及によって顧客がSNSやブログで容易に情報収集・情報発信できるようになったことです。顧客は周囲の家族や友人だけでなく、オンラインでつながる多くの人々に対して、企業から提供された顧客体験について自由にシェアするようになりました。また、購入前にSNSや口コミアプリなどで情報収集するといった行動もよく見られます。

こうした変化を経て、顧客と企業の関係は「サービスや商品」単体では評価しにくくなりました。サービスや商品を買っていただくことはゴールではなく、顧客と企業の関係づくりの通過点でしかありません。だからこそ、多くの企業がよりよいカスタマーエクスペリエンスの提供に目を向け始めているのです。

カスタマーエクスペリエンス(CX)向上の効果

優れたカスタマーエクスペリエンスは、顧客と企業との間に単純な合理性を超えた強い信頼関係を構築します。それにより、他社への乗り換えを防止し、クロスセルやアップセル、リピート購入による顧客生涯価値(LTV)の最大化が見込めます。

加えて、顧客自身が企業の魅力を積極的に発信してくれる可能性も高まります。前述の通り、人々はオンラインを通じて簡単に情報収集・情報発信できるようになりました。優れたカスタマーエクスペリエンスは多くの好意的な体験談をオンライン上にもたらし、企業発信ではアプローチできない人々にまでリーチを広げます。

カスタマーエクスペリエンスの向上は、いまやビジネスの持続的な成長に欠かせないのです。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の感情的価値

カスタマーエクスペリエンスの概念を日々の実務に取り入れるためには、より分解して考える必要があります。

そこで、経営学者でもあるコロンビア大学ビジネススクール教授のバーンド・H・シュミット氏の「5つの感情的価値」という考え方をご紹介します。シュミット氏は著書『経験価値マネジメント』で、数値化できない感情的価値を「感覚的(Sense)」「情緒的(Feel)」「知的(Think)」「行動(Act)」「社会的(Relate)」の5つに分類し、この5つの感情の理解を深めて行動に落とし込むことが重要と述べています。

顧客に提供しているサービスや商品、周辺施策で提供できる感情的価値がないか、考えてみてはいかがでしょうか。

カスタマーエクスペリエンス(CX)の感情的価値

感情的価値①:感覚的価値(Sense)

顧客が体感する価値です。人間が持つ五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を通してとらえることができます。また、つい触れたり、食べたりしたくなるような「手触りがよさそう」「おいしそう」といった感覚も感覚的価値に分類されます。

ビジネスシーンでは、顧客向けの資料を目に優しい配色にしたり、ウェビナーの待ち時間にリラックスできる音楽を流したりすることなどが該当します。また、サービスや商品がもたらす空間の音や香り、手触りなどにこだわることでも感覚的価値を提供できます。

感情的価値②:情緒的価値(Feel)

顧客が心情として感じられる価値です。感動、感嘆、安心などがここに含まれます。

商品やサービス自体の魅力によって提供できる価値もありますが、企業姿勢や企業努力によって提供できるものも多くあります。たとえば、カスタマーサポートやカスタマーサクセスであれば、顧客からの問い合わせに対して真摯に向き合い、顧客のお困りごとや悩みを解決する丁寧な対応によって情緒的価値を提供できます。

感情的価値③:知的価値(Think)

顧客の創造性や好奇心を刺激する価値です。学びや知識を通して提供できます。

例として、お役立ち資料やウェビナーなどが挙げられます。ただし、顧客に知的価値を提供するためには一方的な自社の宣伝ではなく、相手が興味を持つテーマを設定する必要があります。知的好奇心をくすぐる顧客体験によって、「この企業は面白い」「この企業と関わると学びが多い」と感じていただくことが大切です。

感情的価値④:行動価値(Act)

顧客の行動によって生まれる価値です。身体的認知を経て得られると定義されています。

「やってみたかったこと」を手軽に試せる体験型サービス施設はわかりやすい例です。VRを用いた仮想体験や、新技術のワークショップなどが考えられます。行動価値を提供することで顧客のライフスタイルやワークスタイルに変化をもたらすと、新たな習慣として根付き、顧客生涯価値の向上に期待できます。

感情的価値⑤:社会的価値(Relate)

特定のコミュニティや文化への帰属意識によってもたらされる価値です。マズローの欲求5段階説で、人々には「社会的欲求」「承認欲求」が備わっているとされていますが、顧客自身の価値観や信念に大きな影響を与える集団に帰属することで、特別感や誇りを価値として受け取ります。また、一方的に利便を享受するだけでなく、「応援したい」「他の人にも知らせたい」といった「自己実現欲求」を満たすことでも提供できると考えられます。

オーナー限定コミュニティ、会員限定のイベント、地域限定のプロモーションなどがその例です。

カスタマーエクスペリエンス(CX)における顧客対応のポイント

企業の体制上、マーケティング・営業・カスタマーサポートなど、部署で分担して顧客対応にあたることがほとんどです。しかし、部署間の情報共有が十分ではなかったり、システムが連携されていないことも多いでしょう。すると、顧客の体験も分断されてしまい、カスタマーエクスペリエンスの質の低下が懸念されます。

これまで見てきたように、優れたカスタマーエクスペリエンスを実現するには、あらゆるタッチポイントでどのように振る舞い、どういった感情的価値を提供するか、俯瞰して設計することが重要です。

ここからは優れたカスタマーエクスペリエンスを実現するために、どのような顧客対応をすべきか、3つのポイントを解説します。

顧客対応①:一人ひとりの顧客にあわせた商品やサービスを提案

企業が一人ひとりの顧客にあわせて商品やサービスを提案する方法を、パーソナライズ(またはパーソナライゼーション)といいます。顧客は日々、膨大な情報にさらされており、自身に必要な商品やサービスを見つけ出すことが難しくなっています。そのため、顧客の興味関心や趣味嗜好に合わせた提案が求められます。

パーソナライズされた提案例は、すでに生活に浸透しています。ECサイトで表示される「レコメンド表示」や購入履歴をもとに送信されるメールなどが代表的です。これらを実現するためは、顧客と接する機会のある営業担当者やCS担当者が中心となって、顧客の属性や興味関心などを把握しておく必要があります。

顧客対応②:必要な情報を適切なタイミングで提供

優れたカスタマーエクスペリエンスを実現するためには、顧客にとって価値のある情報を、もっとも必要なタイミングで提供することも重要です。

顧客の興味に合わせた広告配信や、顧客情報管理の徹底、チャットやLINEといった身近なコミュニケーションツールの採用によって、情報提供の精度は高まっています。

また、顧客にとって、もっとも緊急性が高いタイミングは、「問い合わせ」ニーズが発生した瞬間です。お客様窓口や問い合わせフォームといった有人対応に加えて、最近ではFAQシステム、チャットボットといった自己解決型の顧客対応が可能になりました。自己解決型の顧客対応によって、顧客は混雑で待たされることもなく、24時間365日いつでも瞬時に問題を解決できるようになります。

自動応答で解消できる悩みは自己解決型顧客対応に任せ、複雑なサポートが必要な課題には有人対応するといった使い分けにより、良質なカスタマーエクスペリエンスが実現します。

顧客対応③:情緒的価値をもたらすメッセージ

おもてなしの心や文化は、対面コミュニケーションで発揮されるイメージが強いかもしれません。しかし、販売や顧客対応のデジタル化が進む今、おもてなしをいかにオンラインに取り入れるかが鍵を握ります。

さらに、顧客はあらゆるタッチポイントにおける企業からの情報を、すべて企業のメッセージと受け取ります。たとえば、メールの件名、FAQの回答文面といったひとつひとつの情報でさえ、企業姿勢を伝える媒介となります。

顧客とのすべての接点において情緒的価値を提供することで、優れたカスタマーエクスペリエンスの実現につながります。

カスタマーエクスペリエンス(CX)を向上させる顧客対応ツール

カスタマーエクスペリエンス向上のためには、対応のスピード・正確性・丁寧さが重要です。革新的な検索型FAQシステム「Helpfeel」であれば、顧客の疑問を即時に解消し、良質なサービス体験を実現できます。

Helpfeelは、人ごとに微妙に異なる曖昧な言葉の表現や感覚的な表現、スペルミスなどにも対応できます。さらに、従来FAQの1,000倍高速での応答が可能です。顧客で迅速に適切なアンサーを検索できることで、サービスへの信頼感と満足感を生み出します。

Helpfeel導入によって削減できた問い合わせ対応時間を、カスタマーサポートの教育・人材育成時間にあて、さらなるカスタマーエクスペリエンスの充実を目指しませんか。ぜひお気軽にご相談ください。

著者
Helpfeel
どんな質問にも答えられる本当に役に立つFAQシステム「Helpfeel(ヘルプフィール)」。お客様の質問になんでも答え、CS担当者やコールセンターの負担を削減します。