コールセンターでマニュアルを作成する目的とは
一般的に、コールセンターでマニュアルを作成する一番の目的は「オペレーターのスキルに依存せず均一なサービスを提供し、顧客満足につなげること」です。
商品やサービスに関する情報、よくある対応パターンといった情報をマニュアル化しておくことで、対応品質の均一化が図れます。
その他、問い合わせ対応を効率化する方法については、こちらの記事をご覧ください。
コールセンターにおけるマニュアル作成のポイント
コールセンターのマニュアルには、以下のような項目が必要です。
- 会社概要
- マナーと敬語表現
- 社内ルールの背景や意味
- 仕事で使うパソコンやツールの操作方法
- サービスや商品説明
- トークスクリプト
特に重要な項目について、作成のポイントをご紹介します。
マナーと敬語表現
顧客と対面せず、電話やメールで対応するコールセンター業務では、ビジネスマナーや敬語を正しく取り扱うことが重要です。
言葉づかいや言い回しの些細な誤りが、会社全体への不信感につながるおそれがあるからです。
マニュアルには、以下のようなビジネスマナーや敬語の知識を記載していきましょう。
①敬語の種類
敬語には大きく分けて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類が存在します。
しかし、これらを正確に把握し、とっさの対応で使い分けることは簡単なことではありません。
特に尊敬語と謙譲語は混同されたり二重に用いられたりするケースが多々あります。
「✕:おっしゃられた ◯:おっしゃった」「✕:拝見していただけましたか ◯:ご覧になりましたか」のように、正しい敬語だけでなく誤った例も記載しておくと、オペレーターの誤用を防ぎやすくなり安心です。
②言い回し
「お電話ありがとうございます」「かしこまりました」といった、基本的なフレーズはコールセンター内で統一しましょう。
③クッション言葉
クッション言葉とは、「お手数をおかけしますが」「失礼ですが」など、会話のあいだに挟むフレーズのことです。
丁寧な対応を顧客に印象づけたり、会話を柔和にしたりする効果がありますが、誤った使い方をすると逆に不快感を与えてしまうので、NG例をいれておくと良いでしょう。
社内ルールの背景や意味
ルールや規則そのものだけではなく、背景や意味も記載することで、顧客対応のベースとなる考え方をオペレーターが理解する一助となります。これらを理解することで、より適切な対応ができるようになります。
サービスや商品説明
問い合わせ頻度の多い商品・サービスのみをマニュアルに記載しがちですが、すべての商品・サービスを網羅することが重要です。
問い合わせ頻度の少ないものを記載しておくと、経験の浅いオペレーターでも対応方法を参照でき、業務の属人化解消につながるからです。
トークスクリプト
トークスクリプトは「台本」のことです。コールセンターでは、トークスクリプトの流れに沿って顧客対応にあたります。
実際にコールセンターに寄せられた問い合わせをまとめたQ&A形式や、顧客とオペレーターの会話の流れを順序立てて整理したフローチャート形式が一般的です。
トークスクリプトを作成するにはまず、自社商品・サービスの典型的なペルソナ(顧客像)を設定し、ペルソナの課題を洗い出します。ペルソナの課題が、トークスクリプトの内容に直結しやすいからです。
また、ペルソナを性別・年齢・職業まで細かく設定しておくと、適切な言葉遣いやワードチョイスが可能になり、トークスクリプトがより具体的で実践的なものになります。
さらに、問い合わせ内容に応じてスクリプトの形式を変更するのも重要なポイントです。
「商品はどこで購入できるのか」といった、一度の回答で解決する問い合わせはQ&A形式にし、「商品に不具合がある」といった、顧客の状況によって対応が変わる問い合わせはフローチャート形式にしましょう。
ただ、せっかくマニュアルを作成したのに、マニュアルが読まれないということもあります。
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コールセンターのフローチャート型トークスクリプトの作り方
トークスクリプトはQ&A形式やフローチャート形式が一般的と前述しました。
本項では、使用頻度が高いが、イメージの付きにくいフローチャート型トークスクリプトの作り方について紹介します。
フローチャートの作成手順
①フローチャートの起点となる課題をピックアップする
トークスクリプト作成のために設定したペルソナと、ペルソナが持ち得る課題の中から、フローチャートの起点になる課題を選定します。
特に、
- 顧客に対して複数の質問が必要である
- 過去にトラブルへ発展した事例がある
など対応の難易度が高い事例を優先的にピックアップすると良いでしょう。
②課題把握〜解決の流れをフローチャートにまとめる
顧客に対する質問はできるだけ簡潔に、YES、NOの2択で答えられるものにしましょう。実際の会話で活用できるよう、話し言葉で記載するのもポイントです。
ベテランオペレーターのトークを聞いて、課題把握〜解決までの流れをフローに落としていくと、効率的に作成できます。
「何を聞き」「何を伝え」「最終的な着地点はどこを目指すのか」の3要素を明確にすることを心がけてください。
③ロールプレイングでブラッシュアップする
フローチャートの準備ができたら、オペレーター役と顧客役に分かれてロールプレイングを行い、完成度を検証します。
実際の業務を想定してフローチャートを辿ることで、改善点を見つけ、内容のブラッシュアップを図ることができます。
使いやすいフローチャートとは
オペレーターが瞬時に判断を下すためには、フローチャートそのものが見やすくレイアウトされていることが重要です。
どれだけ内容を充実させても、読みにくい、探しにくい資料では、チェックに時間がかかってしまい現場での活用に支障が出てしまいます。
一目で内容を理解できるように、
- 課題をカテゴリー別に分ける
- 文字の大きさや行間に気をつける
- 太字や下線、マークなどの装飾をつける
といった工夫を凝らすと、使いやすくなります。
また色分けをする場合は、ページ内の配色を2〜3色程度に絞ったほうが効果的です。色数が多すぎると、重要なポイントが判別しにくくなるので注意しましょう。
コールセンターにおけるマニュアル運用のポイント
マニュアルを探しやすくするために整理しておく
マニュアルが多様化すると、利用するユーザーが必要な情報に辿り着けなくなり、結果的にマニュアルの意味がなくなってしまう弊害が起こります。
きちんと整理と管理を行い、いつでも誰でも容易に探し出すことができる、すぐに情報が出せる状態になっていることが理想です。
しかし実際には、マニュアルが増えすぎて整理が難しくなっているという方も多いのではないでしょうか?
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ベテランオペレーターの意見を反映する
マニュアルが完成し運用段階に入った後は、現場の意見を共有してもらい、反映していくことが重要です。
特に、評価の高いベテランオペレーターの意見は、柔軟な顧客対応能力に基づいた有益なアドバイスです。
声の大きさ、滑舌といった発声の仕方や、会話のスピード、イントネーションなど、顧客とのやり取りをスムーズにするためのテクニックについても、マニュアルに記載すれば定型化を図れます。
実際のやり取りを音声や動画で記録して、マニュアルと合わせて参照できるようにしておけば、より一層対応の精度を高めることができます。
クレームにつながりやすい問題が網羅されているか確認する
商品の不具合、請求料金の間違いなど、提供サービスの品質に関する問い合わせは、そのままクレームにつながる可能性が高くなります。
トークの開始直後から細やかな配慮が必要とされるため、マニュアルでは具体的な対応方法を記載しておきましょう。
「顧客が不快感を覚えたことに対してまず謝罪する」といった対応を基本に据えることにより、顧客の怒りや不安の緩和が期待できます。
過去にクレームへ発展してしまった事例はすべて洗い出し、マニュアルで網羅できているかを確認しておきましょう。
専門用語を使いすぎていないか確認する
マニュアル作成は、商品・サービスの内容や社内事情に精通した社員が担当することが多いです。
その際「知識がある前提で書いてしまう文章、会話文」になっていないか気をつけましょう。
日常業務で当たり前に使っている用語でも、新人オペレーターや顧客にとっては馴染みのない、理解しにくいキーワードかもしれません。
初めてマニュアルを読んだ新人オペレーターに、わかりにくい箇所がないか確認したり、感想を求めたりすることで、社内の常識に囚われない、より顧客に寄り添ったマニュアルに近づけるでしょう。
情報を最新に保つ
新商品や新サービスがリリースされたときや、既存の商品・サービスが仕様変更されたときは、顧客対応にも変化が生じるのは明白です。マニュアルを常にブラッシュアップし続ける必要があります。
PDCAサイクルを回して継続的に改善する
企業の業務改善ではPDCAサイクルを回すことにより、生産性の向上が図れます。
コールセンターのマニュアルにおいても「マニュアルの作成(Plan)」「運用(Do)」「顧客の反応(Check)」「改善点の洗い出し(Action)」のサイクルを実行することで、より実用的なマニュアルを目指すことが重要です。
コールセンター運営の劇的な効率化を実現するオペレーター向けFAQ
マニュアルは充実していくほど、探しづらくなる場合があります。さらに、顧客によって言葉や言い回しは千差万別であり、オペレーターの判断に迷いが生じることもあるでしょう。このような問題は、オペレーター向けFAQシステムを活用することにより改善が見込めます。
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