そもそもVOC (Voice of Customer)とは何か?
VOCとは、「Voice of customer」の略語で、「顧客からの声」という意味です。
意見、要望、クレーム、指摘など、VOCにはさまざまな種類があります。
VOCは、コールセンターやカスタマーサポートに直接寄せられる声だけではありません。SNSやブログ、レビューサイト、GoogleMapなどに記載される口コミもVOCです。
また、VOCは必ずしも一般消費者向け(BtoC)の商品やサービスだけに寄せられるとは限りません。企業向け(BtoB)の商品やサービスに関するVOCもあります。顧客の特性によりVOCの収集方法は大きく異なりますが、「商品やサービスを利用する顧客からの生の声」という本質に違いはありません。
VOC活用で得られるメリット
VOCを収集・分析することで、顧客目線での商品・サービス開発ができます。その結果、新規顧客の獲得や売上の増加が見込めます。
また、VOCをサービス品質の改善に役立てることで、顧客満足度の向上を図ることができます。その結果、リピーターが増加しLTV(顧客生涯価値)の向上につながります。
VOCの主な収集方法
VOCを収集する方法は多岐にわたります。この項では、チャネルごとのVOCの特徴とその収集方法を整理します。
電話
電話でのVOCは顧客の生の声で、他のチャネルよりも顧客の感情を詳しく把握することができます。電話内容を音声データとして記録したり、顧客情報と突合して収集したりすることで、VOCの利用価値が上がります。オペレーターの人力作業では限界があるため、CTI(Computer Telephony Integration)、CRM(Customer Relationship Management)などのシステムを導入することで、効率的に収集しましょう。
メールやチャット
カスタマーサポートで受け付けるメールやチャットの内容もVOCとして収集しましょう。これらは電話とは異なり、営業時間に関わらず顧客が問い合わせできるので、24時間365日、VOCを収集することができます。電話では言いにくい内容もテキスト上でなら伝えやすいという顧客も多く、より率直な意見が集まりやすいです。
SNSやブログ
SNSやブログなどからVOCを収集するには、企業側は自社の商品やサービス名を検索する”エゴサ(エゴサーチ)”で自ら意見を収集しにいかなければなりません。収集に手間こそかかりますが、自然体で発信される内容であることから顧客の本音を知ることができます。
モニター調査
まだ市場に出ていない商品に対するVOCを求める際は、モニター調査の実施が有効です。サンプル品などを配布し、実際に使ってもらったうえでアンケートに回答してもらえば、市場に出る前に、顧客の反応を知ることができます。配布用のサンプル品や協力へのお礼の用意など、VOCの収集に一定のコストがかかる点には留意しましょう。
VOCの収集にコールセンターは適しているのか?
コールセンターには、「サービスにログインできない」「製品が故障した」といった緊急性の高いVOCが集まります。そうしたトラブルに関するVOCは温度感が高く、顧客側から即時の回答を求められる傾向があります。企業が優先的に取り組むべき課題を察知できることが、コールセンターがVOC収集に適している点です。
しかし、コールセンターの活動のみでは、VOCを網羅的に収集することはできません。前述の通り、VOCにはトラブルに関するもの以外にも、意見や要望などさまざまな種類が存在します。コールセンターに寄せられるVOCに限らず、幅広いVOCを収集して活用しなければ、顧客の意見を正しく汲み取ることができません。そのため、顧客接点の最前線であるコールセンターをVOC収集の起点にしながら、SNSや口コミ等他のチャネルからもVOC収集をする体制構築が必要です。
VOC収集におけるポイント
目的を持ってVOCを収集する
VOCの活用は、商品やサービスの改善に直結する意見を集められる、非常に有用なマーケティング施策のひとつです。ただし、VOC収集をやみくもに行っても、労力やコストだけが浪費されかねません。
VOCを有効活用するためには、まず、目的を明確にする必要があります。
VOC活動の目的例
- サービスや商品を改善する
- 企業のブランドイメージを醸成する
- 新商品開発のアイデアを得る
- マーケティング手法を最適化する
- 製品のリスクを調査し、リコール対策をする
目的から逆算して、収集するチャネルや内容を設計しましょう。
例えば、「新商品開発のアイデアを得る」が目的なら、自社の既存製品に対するユーザーの意見が参考になります。
このような内容のVOCを収集するには、SNSでエゴサをするのがおすすめです。SNSから「この機能が追加されたら購入する」「一回り小さいサイズの方が使いやすそう」など商品に対する率直な意見を収集しましょう。
全社でVOCを活かす
VOCが収集できたら、実際に課題の解決に向けた運用を進めます。集めたVOCを課題の解決に活かせるよう、社内に周知する体制構築が必要です。
集めたVOCが特定の部署にしか知られていない状態は、適切に運用できているとは言えません。VOCは、最終的には企業の取り組み方や思想といった根本的な要素に影響を与えるものです。VOCを分析して優先順位付け、必要な部署に展開することではじめて、VOCを活かすことができます。
ひとつの商品やサービスに限定されない課題を発見できるよう、分析部署の設置や収集・分析システムの導入など、効率的なVOC活用を行う体制構築が重要といえます。
顧客対応ツールを活用した効率的なVOC活動を
顧客のニーズが多様化している現代において、商品やサービスに直接触れるユーザーからのVOCは、貴重な情報源です。VOCを収集し、効率よく分析することで、商品やサービスの品質向上に繋がります。一方で、VOCの活用には手間とコストがかかります。VOCを効果的に活用するためには、VOCに求める目的を明確にし、適切な運用体制を構築する必要があります。
弊社では、FAQシステム(FAQツール)「Helpfeel(ヘルプフィール)」を提供しています。Helpfeelは、VOCの管理にもご活用いただけます。
前述の通り、VOCの活用には、適切なVOC収集の仕組みづくりと、分析工数の捻出が重要です。ただし、多くのコールセンターでは、日々の業務が忙しく、顧客対応のデータを一元管理したり、分析時間を確保したりすることが難しいという課題に直面しています。
Helpfeelを使ったFAQサイトでは、ユーザーにサイト上での自己解決を促すことで、コールセンターの負担軽減につながるのみならず、ユーザーの検索行動を分析できます。VOCを効率的に収集することで、コールセンターがサービス改善に回す時間を確保することに役立ちます。
例えば、株式会社リクルートが展開する「Airレジ」では、Helpfeelを導入したことで検索結果のクリック率が向上し、問い合わせ率が低下。ユーザー数が増える中でも、ヘルプデスクの規模を変えないサポートの提供が可能になりました。
また、Helpfeelではユーザーが検索するキーワードや、見られているページを分析できます。その結果からユーザーの傾向を捉えて、定期的なFAQサイトの改善につなげています。
FAQシステムを活用したVOCの収集・分析に興味をお持ちの企業様は、ぜひお気軽にご相談ください。