24時間体制の産後ケアホテルとして、2021年12月に誕生した「マームガーデンリゾート葉山」(神奈川県横須賀市)。都心から100km圏内というアクセスの良さと、ママの休息と回復にフォーカスしたホスピタリティの高さが、多くのお客様に支持されています。現在設立から1周年を迎え、利用者数は1000組を超えました。
同社は2022年6月よりHelpfeelを導入し、お客様から寄せられる問い合わせ対応としてFAQページを活用されています。今回は同社 取締役社長 斎藤睦美様にお話を伺い、Helpfeel導入の経緯や効果について詳しくお聞きしました。
問い合わせの9割はLINE経由。質問対応のやり取りが長引いて業務に支障が出る可能性も
──まずは、カスタマーサポートの体制について教えてください。
サービス立ち上げ当初から、2〜3人のスタッフが担当しています。専任ではなく、他の業務と並行しながら進めており、少数精鋭の対応が特徴です。
──Helpfeelを導入いただく以前はカスタマーサポートにおいてどのような課題がありましたか?
産後ケアという概念とサービスは、比較的新しく、サービスイメージが定着していません。そうした現状の中から新たな施設として産後ケアホテル「マームガーデンリゾート葉山」が誕生しました。そのため、利用されるお客様自身も「何が分からないのか、分からない」という状態です。私たち自身も、お客様がホテルサービスに対しての疑問やご不安点が予測しづらく、手探りでスタートせざるを得ない点に課題を感じていました。
Helpfeel導入前はnoteを自社HPの代わりに運用し、産後ケアについての知識やサービスについてお伝えしていました。その後、HPの運用も始めたのですが、充実しているとは言えませんでした。それでも、問い合わせは1日10件ほど寄せられていました。
──問い合わせ内容について、気になることはありましたか?
HPに掲載しているはずの情報について、何度も質問が寄せられる点が気になっていました。お客様に情報がうまく伝わっていなかったのかもしれません。
また、当社は問い合わせフォームにLINEを利用しています。現在、LINE登録者数は8800名(※)。お問い合わせの流入経路は9割以上がLINE経由です。お客様から気軽に質問できる反面、やり取りが長くなってしまっていることも気になっていました。質疑応答のラリーが続いてしまうと、それだけ工数もかかってしまいます。専任スタッフが対応しているわけではないため、他の業務にも支障が出てしまう可能性がありました。
──そうした課題に対して、どのように向き合ってきたのですか?
まずはお客様自身で解決できるよう、LINEの『シンプルQ&A』を導入。AIによって自動回答される機能で、現在も一部導入を続けています。次にカスタマーサポートツールを使ってみました。しかし自走することができず、他のツールを検討しようと考えました。少数精鋭の体制で運用しているためコンテンツ制作や更新作業だけにリソースをかけるわけにもいかず、改善策を立てようにも立て方や進め方に行き詰まりこのツールで運用する限界を感じ始めてきたのです。またユーザーが検索する「言葉のゆらぎ」への対応もできていなかったことも大きいです。そこで、同じグループ企業内で展開している「カラオケ パセラ」で導入していたHelpfeelについて興味を持ちました。
「全国旅行支援」「県民割」など急なキャンペーン開始でも対応LPはFAQで吸収。更新性を活かしてスピーディにコンテンツ化。
──Helpfeelを知ったきっかけは、『カラオケパセラ』がきっかけだったのですね?
はい。Helpfeelを導入した事例が社内でも共有されていましたから導入後の具体的な成功イメージも湧きやすく、大きな安心感がありました。お客様が必要としてる情報に対して、こちらからの発信が足りていないことで、問い合わせ対応に手が回らなくなるという状況を脱したいと思っていました。
これからさまざまなサービスやコンテンツが増えていく中で、受け身の姿勢で仕事を進めていくことに危機感が芽生えていました。
──導入してみて、どのような印象をお持ちになりましたか?
Q&Aを分かりやすく提示するFAQサイトとしてはもちろん、満足しています。加えて更新性が非常に高く、使いやすい点も助かっています。先日も、新しいキャンペーンを立ち上げる際に、HelpfeelのページをLPとして利用させていただきました。
たとえばホテル業は「全国旅行支援」「県民割」など、国や自治体で展開される観光施策とも密接な関係があります。対応方法も日々変わるため、施策やキャンペーンに合わせてスピーディにHP上の情報を更新するのが難しいケースも出てきます。そうした中でHelpfeelのカスタマーサクセスチームの方々と協力しながら、キャンペーンに合わせた情報を掲載することで、出したい情報はコンテンツとして掲載し、FAQで導線も作れるので更新性が非常に高く、お客様からの問い合わせにもすぐにお応えできると感じています。
一方、ホテル業においては、電話でのお問い合わせをされる方も一定数います。しかしそうしたなかにおいてもお客様にFAQを使っていただくポイントはいくつかあると感じています。
例えば、HP上にはHelpfeelのポップアップ機能(※2)を入れて「お困りの場合はこちら」と表示されるボタンを目立つように置きました。ポップアップ機能によって1クリックで検索窓がポップアップするため使い勝手がよく、電話での案内時にはこのFAQの導線もセットでご案内しています。またLINEでやりとりしているお客様にはFAQのコンテンツページをご案内するとみてくださり、自発的に色々調べてくださるようになっています。このようにまずはコンテンツページがあることをお知らせする工夫ができているので、FAQで吸収できる疑問はお客様自身でゆっくり読んでいただき、必要なサポートに向き合う体制ができていると感じています。
HelpfeelはInstagramのリール動画と同じ。「見ている間にサービスを熟知している状態」で宿泊ニーズを後押しへ
──Helpfeel導入後の、効果はいかがでしたか?
実は、問い合わせ件数は大きく変動していません。「マームガーデンリゾート葉山」を立ち上げて1年が経ち、サービスを利用されるお客様数は1.8倍にまで増えました。それに連動するように、問い合わせ件数も増えています。
今までのように、何度もLINEのやり取りが続くようなことは少なくなってきました。FAQサイトを使って解決できる質問内容は全体の70%ほどを占めていましたが、現在は40%ほどに減りました。数字では30%の減少とみえますが減少幅としては42%です。プロモーションの効果などもありそもそもの問い合わせ総数がおそらく2倍に増加しているので、肌感では少なくとも半減しているのではと感じています。
──カスタマーサポートのメンバーからはどのような反応がありましたか?
担当メンバーからは「お客様の不安が解消されている。質問のほとんどがHelpfeelを見て解決できるようになっている」という反応がありました。
問い合わせされる方のほとんどは宿泊を決めたお客様です。ですからHelpfeelのリンクをつけて返信し、ゆっくりご確認していただけるように配慮した点が功を奏したと感じています。お客様が自分で詳しく調べられて安心していただけたのかもしれません。「長期滞在を予定しているので、詳しく分かって良かったです」との声もいただきました。
泊まると思ったからこそ、「そういえばあの件は、どうなっているのかな」と気になる点が出てくるお客様も多くいらっしゃいます。そうした疑問について自ら解決できる導線ができ、並行して業務を担当しているメンバーにとっては非常に助かっているそうです。
──Helpfeelのカスタマーサクセスチームとの協働はいかがですか?
現在はカスタマーサポートを担当するメンバーのうち1人がお客様対応をメインで担当し、もう1人がHelpfeel側のチームとのやり取りを含めたマーケティング施策を担当してくれています。Helpfeelのカスタマーサクセスチームの存在があるからこそ、この体制が実現できていると思っています。むしろ少数精鋭だからこそ、私たちだけでは気づかないような、細やかな提案や修正などはHelpfeelさんの提案をもとにして素早く判断し、PDCAを回せているのではないでしょうか。カスタマーサクセスの伴走によってオペレーション業務に時間を割かずとも、良質なFAQを用意できるようになったと感じています。
Helpfeelによって得たお客様の声は、データとして弊社に蓄積されています。このデータが現場でのホスピタリティの質を高め、さらに別部署への情報共有としても役立っています。最近もカスタマーサクセスチームからの提案を受け、スピーディにサイトへ反映し、対応したFAQコンテンツがありました。
例えば、マームガーデンでは、「何ヶ月の赤ちゃんまでが対象ですか?」という記事がよく検索されていましたが、この記事の答えとして以前は「当ホテルは生後3ヶ月未満のお子様が対象です」としか書かれていませんでした。ところがこれに対し、カスタマーサクセスの方から「もっと情報を盛り込んで充実させましょう」と提案していただき、お客様に訴求できるポイントやPRできるポイントを増やして一緒に記事を作り上げられたことがすごくよかったです。
入口はFAQですが、コンテンツを充実させることで当社のサービスをより深く知っていただくチャンスにもつながっていくのではないかと、感じています。
特にマームガーデンは「産後ケアホテル」というまだ日本でも数少ないホテル形態です。よって、お客様は不安に思ったり、何ができるホテルなのかもわからない、という状態です。ですから独自のサービスは必然的にお客様の気になるポイントでもあります。ホテル業におけるFAQでは独自サービスやほかの宿泊施設との差別化をしっかりとコンテンツ上でPRし、リアルな滞在イメージを描いていただけるようにすることが重要ではないでしょうか。FAQの充実がお客様の満足度を高め、利用の判断や後押しにもつながると考えています。
──Helpfeelを有効にご活用いただき、大変嬉しく思います。最後に、改めてHelpfeelへのご感想や今後の展望をお聞かせください。
Helpfeelはシンプルで使いやすいツールです。非常にシンプルですが、次々にユーザーの知りたいことを提案してくれたり、リンクを飛んでいくとさらにわかる構造となっています。この感覚はInstagramのリール動画に似た感覚だと思っていて、見ている間にそのサービスについていつの間にか詳しくなっている、という状態になれます。ホテル業を営む企業にとっては、FAQサイトの充実は独自のサービスに関してお客様に丁寧に伝えるコンテンツとして、役に立つ可能性を秘めていると思っています。
(※1)2023年2月時点
(※2)ユーザーが「お困りの場合はこちら」をクリックするとポップアップ形式で画面中央に検索画面が表示される