インターネットで自分の活動や夢を発信し、想いに共感した人から資金を募る「クラウドファンディング」。2011年3月に国内初のクラウドファンディングサービスを立ち上げ、多くの実行者の想いをサポートしてきたのがREADYFOR株式会社です。
同社は実行者に限らず、資金をサポートする「支援者」、企業や行政などの「パートナー」といったステークホルダーがいるため、日々多くの問い合わせが寄せられていました。多い月には「実行者・支援者」合わせて1か月に2000件以上あり、担当者はその対応に追われ、改善にもなかなか手をつけられない状況。そのため、問い合わせ数の削減が求められていました。
そこで、同社は2021年10月から検索型FAQであるHelpfeelを導入。Kinds機能を活用してコンテンツの出し分けを行い、一つのサイトで実行者、支援者、パートナーそれぞれの課題解決を進めています。今回は、カスタマーサービス部、 実行者サポート、 さらに支援者サポート、 パートナーサポートと、幅広くご利用いただいている同社にHelpfeel導入の背景や具体的な成果についてお聞きしました。
Webサービスに慣れていない方も自己解決できるように
── 最初に、Helpfeelを導入いただく前は、どのような課題があったのか教えてください。
「実行者・支援者」合わせて、月2000〜2500件ほどの問い合わせがあり、担当者が対応に追われていました。すべての問い合わせ内容は個別にデータを蓄積していますが、細かく分岐するものが多く、一つひとつ個別に内容を確認して対応しなければいけませんでした。つまり、ナレッジをうまく生かせない状況だったんです。
企業や行政など「パートナー」のサポートは、問い合わせの数が多いわけではありませんが、部署にマニュアルのような言語化したものはなかったので、別部門が作成したナレッジを検索し、回答するといったフローがとられていました。そのため、より早く正確な情報を伝えるという点で、「何か良い方法がないか」と課題に感じることはありましたね。
── それらの課題に対して、どのようなアプローチをされていましたか。
以前は他のツールを導入していたのですが、操作がしにくかったんです。改善するリソースもなかなかとれませんでしたし、知見も不足していたと思います。
── Helpfeelの導入を考え始めたきっかけについて教えてください。
問い合わせの数を減らし自己解決率を上げたいと考えていたときにHelpfeelを知りました。特に重視しようと考えていたのは、ユーザーの皆さんにとって使いやすいかどうかです。
READYFORは多様な方が活用します。そのため、さまざまな問い合わせに対して、これまでは「人が対応しなければいけない」と考えてしまっていました。しかし、それでは限界があります。
Webサービスを利用するのに慣れていない方だったとしても、自身で調べながら疑問を解決できる。Helpfeelであれば、そんな状態を目指せるのではないかと思いました。
── 導入の決め手は何だったのでしょうか。
実際に私も試しましたが、直感的に操作できますし、あいまいな質問にも対応する「意図予測検索」機能があります。そのため、調べたい単語が分からなくても「そうそう、これを調べたかった」と表示された単語をもとに、ユーザーが考えることが可能です。
また、FAQの改善にも取り組みやすいのは検討するにあたって大きい要素でした。これまではコンテンツは用意していたものの、読まれていないものもあり、その要因について分析もできていませんでした。Helpfeelであれば、月次の定例でカスタマーサクセスの方が分析結果や改善の提案をしてくださるので、PDCAをまわしやすくなると考えました。
問い合わせ件数が前年比40%減、メンテナンス時間も軽減
── 導入後、Helpfeelを実際に利用した印象はいかがでしたか?
「検索性が高くて使いやすい」とは思ったのですが、正直に言うと半信半疑な部分もありました。もともと多くのFAQコンテンツがあったので、どこにどんな情報があるのかが分かる「ライブラリ」表示のほうがユーザーに親切かもしれないと感じていたからです。
利用してみると、そうした考え方はサービスを熟知しているからこその視点だ、ということに気が付きました。ユーザー視点で見ると、ライブラリ表示は情報量が多すぎて、何をどう調べたらいいのか分からなくなっているのではないか、ということが肌感覚として分かりました。そのため、FAQでは解決されずにメールでの問い合わせが多かったのだと思います。
私自身、前職でFAQサイトの作成に携わっていました。そのときはチャットボットを活用していたのですが、回答をつくるために一つひとつ定義づけをしなければいけなかったので、運用時の苦労が印象に残っています。しかし、Helpfeelの場合は定義づけが不要で、メンテナンスにかかる時間が少ないという点が嬉しかったです。
── 問い合わせ数や設定したKPIは、導入後どのように変化したか教えてください。
支援者の方々の問い合わせは、前年比で約40%ほど減少しました。「システムの操作方法が分からない」「支援の仕方が分からない」といった基本的な問い合わせも、回答コンテンツがあったのにもかかわらず多く寄せられていました。しかし、そうした基本的な問い合わせが少なくなり、現場で対応するスタッフからも嬉しい声が上がっています。
パートナーからの問い合わせは、1日数十件あったのが1桁台となりました。早く正確な情報を伝えるという観点でも、社内で他部門のナレッジを探す必要がなくなり、Helpfeelで回答を探すフローに変わりました。コンテンツのURLを送るだけとなったので、より営業活動に専念できるようになったと思います。正しいFAQコンテンツがあることで、営業活動を変え、運用を効率化できていると感じます。
── Helpfeelを運用する際に、工夫されていることはありますか?
検索結果のデータから得られたインサイトをもとに、コンテンツの作成や修正をすることに注力しています。問い合わせに回答する際、コンテンツのURLも合わせてお送りし、自己解決がしやすくなるような仕組みを整えました。
他にも、全社向けに「Helpfeelに追加したいコンテンツがあれば提案してほしい」と告知をすることで、改善のサイクルがより生まれやすい状態をつくりましたね。
得られたデータをもとに、プロダクトの改善にもつなげたい
── 導入後、当初は予想していなかった効果や気付きなどはありましたか。
カスタマーサクセスの担当者の方と月次で開催している定例会は、想定した以上に効果を感じています。当社はkinds機能を活用し、一つのFAQサイトで「実行者向け」「支援者向け」「パートナー向け」のコンテンツを出し分けています。定例ではそれぞれの項目に分けて、分析結果と改善点の洗い出しをしてくれているのが助かっています。
パートナーの場合、そもそもFAQサイトの存在を認識していない方が複数いることを感じました。そのため、私たちサイドから啓蒙活動をすることにも取り組んでいます。例えば、メールの署名欄にFAQサイトを入れるなどして、自己解決のサポートをしています。
── Helpfeelで得られたデータを、今後どのように活用していきたいと考えていますか。
Helpfeelによって、どのようにFAQサイトを活用されているかがハッキリと分かるようになりました。そうしたデータをもとに、今後はプロダクトの改善にもつなげ、ユーザーの方々にとってより使いやすいサービスにしていけたらと思っています。