カスタマーサクセスとは?重視される背景や役割を解説

customer-success今日では、多くのITサービスが SaaS(Software as a Service)として提供されています。請求形態も、従来の買い切り型ではなく、月額課金型として提供されることが多くなっています。こうした提供形態の変化に伴って、導入時の営業だけではなく、導入企業の継続的な利用を促すアプローチがこれまで以上に重要となりました。そして、その役割を担うのがカスタマーサクセスです。

本コラムでは、カスタマーサクセスが重視される背景や役割、KPIなどを解説していきます。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセス(Customer Success)は、自社のサービスを利用している顧客の、満足度・成功体験を最大化させることを目的とした業務を担います
カスタマーサクセスは、従来のカスタマーサポートとは次のような違いがあります。

カスタマーサクセスとカスタマーサポートの違いとは

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カスタマーサクセスとカスタマーサポートの最も大きな違いは、顧客との関わり方です。カスタマーサポートは、顧客の問い合わせに対応する受動的な業務です。それに対してカスタマーサクセスは、企業側から顧客へ積極的に関わる能動的な業務です。
カスタマーサポートは顧客が持つ疑問や問題の解決が目的であり、KPIとしては、問い合わせの対応数や返信速度が重要です。一方のカスタマーサクセスは、顧客の成功体験やLTV(Lifetime Value/顧客生涯価値)の最大化を目的としており、解約率やアップセル・クロスセル率、売上がKPIとして設定されることが多いです

また、カスタマーサポートでは顧客満足度の低下を抑止する点を重視されますが、カスタマーサクセスは、顧客満足度を最大限まで向上させることを目的としており、KPIの考え方やとらえ方も異なります

カスタマーサクセスが重視される背景

カスタマーサクセスが重視される背景には、SaaSやサブスクリプション型ビジネスの増加があります。サブスクリプションサービスは今後も拡大すると予想されています。2021年度には9,615億円だった国内市場規模は、2024年には約1兆2,422億円まで成長すると予測*されています。

*出典:矢野経済研究所

サブスクリプション型(継続課金)ビジネスでは、顧客の契約継続が売上に直結するため、非常に重要です。その役割を担うのが、カスタマーサクセスです。市場には数多くのサブスクリプション型ビジネスが溢れかえっているため、多くの成功体験を顧客に与えられなければ、簡単に顧客が離れてしまいます。
商品やサービスのクオリティが高いことはもちろん、顧客が持つ印象、体験のシェアなどCX(Customer Experience/顧客体験)が、競合に勝る付加価値を生み出すためには必要です。
こうしたCX(カスタマーエクスペリエンス)の概念が浸透したことも、カスタマーサクセスが重視されるようになった背景のひとつといえます。

※カスタマーエクスペリエンスに関するさらに詳しい解説は、下記のコラムをご覧ください。
>>カスタマーエクスペリエンス(CX)とは?顧客体験向上につながる3つのポイント

カスタマーサクセスが目指すこと(KPI)

カスタマーサクセスが目指すのは、顧客の成功体験を創出し、LTVを最大化することです。LTVとは「顧客生涯価値」のことで、商品やサービスの利用開始から終了までに、顧客が企業へもたらす利益を指します。
そしてLTVを向上させるために、次の3つをKPIとして設定します。

  • オンボーディング完了率
  • 解約率(チャーンレート)
  • アップセル / クロスセル率

3つのKPIを達成するために、カスタマーサクセスに求められる役割を解説します。

カスタマーサクセスの役割

オンボーディング

オンボーディングとは、商品やサービスの利用を開始した顧客に、使い方や機能を理解してもらうためのサポートのことです。
顧客のサービスへの理解不足による解約を防ぐため、商品やサービスに慣れるまでのサポートを行います。カスタマーサクセスは、オンボーディングに必要な工程を設計・実行し、顧客へのオンボーディング完了率を100%に近づけます。

継続利用・導入後支援

顧客の継続利用を促すためには導入後の支援が欠かせません。顧客が興味を持ってサービスのオンボーディングが完了したとしても、サービスをしっかり使いこなし、成功体験を得ることができなければ、契約を継続してもらうことは難しいからです。カスタマーサクセスは、顧客の継続のために必要な支援を実行することで、解約率(チャーンレート)の低下を目指します。

アップセル・クロスセル

カスタマーサクセスは、アップセルやクロスセルによって自社の売上を向上させる役割を担います。サブスクリプション型ビジネスの場合、解約率を抑えることで売上の維持につながりますが、顧客単価は上がらないため、それ以上の売上アップは期待できません。
アップセルやクロスセルを実施すれば顧客単価を引き上げ、LTVを向上させることができます。すでに自社の商品やサービスを利用している顧客なら、ニーズを把握しやすく、新規顧客の開拓に比べて売上向上の見込みが高いため、カスタマーサクセスにおいてアップセルやクロスセルは欠かすことのできない役割です。

カスタマーサクセスが気をつけるべきポイント

カスタマーサクセスで気をつけるべきポイントは、リソースの分配や最適化です。企業のリソースは限られており、どのような顧客にどのような支援をするのか、1社あたりどれくらいの工数をかけるのか、という点で最適化が必要です。
この最適化について多くの企業のカスタマーサクセスでは、顧客を3つにセグメントする「タッチモデル」を採用しています。
tableB_1200x630カスタマーサクセスでもっとも工数をかけるのが、ハイタッチです。大口や長期契約の顧客に対し、1対1の支援をはじめとする、手厚い支援を実施します。次点で重要視する顧客に対しての支援が、ロータッチです。少ない工数で効果的に支援をするため、1対複数で研修会やWebセミナーを実施する、といった手法を採用するケースがあります。
他方、テックタッチではデジタルを使って顧客を支援を実施します。ハイタッチ、ロータッチはいずれも人手による支援を前提とするものですが、テックタッチではシステムやツールを利用し、極力人手がかからない支援を実施します。テックタッチの設計はカスタマーサクセスの工数削減に大きく貢献するので、非常に重要です。
また、よくある質問への回答をテックタッチで実施できれば、顧客が即時に疑問や課題の自己解決ができるというメリットがあります。
このように、カスタマーサクセスには、顧客の種別や解決したい課題に合わせて、適切にリソースの配分をすることが必要です。

カスタマーサクセスでFAQを活用して、リソースを最適化させる方法

限られたリソースでカスタマーサクセスを実現するには、FAQの活用が有効です。FAQは顧客の課題を素早く自己解決へ導けるため、カスタマーサクセスのテックタッチを強化することができます
弊社では、株式会社ビザスク様が運営するセルフマッチング型のスポットコンサルサービス「ビザスクlite」のFAQサイトに、Helpfeelを導入した実績があります。

>>株式会社ビザスク様の導入事例

「ビザスクlite」には質問が多く寄せられており、WordPressでFAQページを作成・公開したものの検索精度が低く、あまり活用されていない状況でした。そこでHelpfeelを導入したところ、1ヵ月で問い合わせ数全体の3分の1を減らすことに成功しました。
Helpfeelは、顧客ごとに異なる言葉で検索がおこなわれた際も、独自技術によって最適な回答を提示します。検索ヒット率は98%と非常に高く、事例のように、大幅な問い合わせ数の削減が期待できます
また、Helpfeelにはクリックするとポップアップ形式でFAQを表示できる「Element(エレメント)」機能や、サジェスト経由でFAQ記事を閲覧できる「Contact Sence」などの機能があります。こうしたシームレスなFAQへの導線も、問い合わせ数を削減できた要因のひとつです。
限られたリソースを有効活用してカスタマーサクセスを実現したいとお考えの方は、ぜひお気軽にHelpfeelについてご相談ください。

著者
Helpfeel
どんな質問にも答えられる本当に役に立つFAQシステム「Helpfeel(ヘルプフィール)」。お客様の質問になんでも答え、CS担当者やコールセンターの負担を削減します。